04
「……っ…」
ぼろぼろ流れる涙を拭って顔をあげると、ビビの表情は輝いた。腕に巻いていた包帯を外すと、左腕を高く伸ばす。
<これから何が起こっても左腕のこれが仲間の印だ!!>
メリー号の甲板には7人が背を向けたまま左腕を高々とあげていた。その腕には"仲間の印"である×(バツ)印。
拭ったはずの涙も再びぼろぼろとこぼれだした。
ぐっと袖で目もとを拭ったルフィは声高らかに叫ぶ。
「出っ航ーっ!!!」
麦わらのドクロが描かれた帆を靡かせメリー号は新たな海へと進む。
「さぁ…カルー。帰ろう…、アルバーナへ!」
その後、アラバスタは諸国も目を見張るばかりの速度で、見事な復興を遂げる。
「もう追って来ねぇな、海軍のやつら」
「う〜ん…」
「突き放したんだろ…?」
「…うう〜ん」
「あのなぁ、何だよ…その気のねぇ返事は!?」
「「「寂しい〜…っ!!」」」
「メソメソすんなァ!!」
ビビと別れて海軍からも逃げ切ったメリー号。ルフィたちはビビがいないことに今さらながら涙を流していた。ゾロはそんな彼らに呆れる。
「そんなに別れたくなけりゃあな…ち、力ずくでつれてくりゃよかったんだ!」
「野蛮人!」
「最低!」
「マリモ!」
「三刀流!」
「いや、待てルフィ!三刀流は悪口じゃねぇぞ」
「……四刀流!」
「いや、だから増えてどうすんだよ!」
呆れるゾロはため息をつきその場を離れるが、一人姿が見えないことに辺りを見回す。するとマストの下に小さく丸くなるハルを見つけた。
「おい、おまえもメソメソすんな…」
『……。ビビが決めたことだ。あたしは何も言えないから…っ、けど…』
きゅっと体を縮こますハルは小さく呟く。
『…寂しい。……もう誰かと離れ離れなんてなりたくない…っ、一緒に…いたい』
「………はぁ…」
そんな少女の頭を優しく撫でると微笑んだ。
「少なくともおれはどこにも行かねぇよ…」
『………っ…』
ぐっと涙を押し殺すハルの側にゾロは黙って座った。
「やっと島を出たみたいね」
「あぁ…」
――キイィ
ドアが開きそこから聞き覚えのある声が聞こえてくる。ゾロは無意識に答えるが違和感を感じ振り向いた。
「ご苦労様」
「な…っ」
「「「……っ…」」」
メソメソしていたルフィたちも慌てて立ち上がると、武器を構える。
「組織の仇討ちか…っ!」
「なんであんたがここにいるのよ!?」
「敵襲〜…敵襲〜っ!」
「ぎゃああぁあ!!」
一瞬にして騒がしくなる甲板。ハルはゆっくり頭をあげると、自身を見下ろす女性を見上げた。
『……ミス、オール…サンデー』
「ふふっ…」
微笑みかけるとハルへ向かって歩き出す。それを制すように、一味がミス・オールサンデーを取り囲むように立った。
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