04
「あの…この町には反乱軍がいると聞いて来たんですが…」
顔を隠しながら訊ねるビビの言葉に痩せ細った男性は表情を厳しくすると、声色を変えて聞き返す。
「…反乱軍に何の用だね……、貴様らまさか反乱軍に入りたいなんて輩じゃあるまいな!!」
「ぅおっ!?」
痩せ細った身体で近くにあるものを手当たり次第一味に投げつける男性。どこにそんな力があるのかと不思議に思う。
「あのバカ共なら…もうここにはいない」
ザクザクとシャベルを使って再び穴を掘り始めた男性。一味はその事実に驚きを隠せない。
彼の話によると、砂嵐は今に始まったことではなくユバは徐々に砂に侵されていたらしく、反乱軍はカトレアに本拠地を移したそうだ。
「カトレア!?」
「何処だ!?ビビ、近いのか?」
「……ナノハナのとなりにあるオアシスよ…」
砂漠の旅が無駄足だったと知った一味は愕然と肩を落としていたが、ただ一人表情を変える人物がいた。
「…ビビ……、今…ビビと…」
「……っ!!」
シャベルを放って一味のもとへ、ビビのもとへと近づいてくる。
「おっさん、ビビは王女じゃねぇぞ!!」
「言うな」
ゾロのツッコミも遅く男性はまっすぐにビビのもとへ向かうと、両肩を掴みさらに詰め寄る。
「ビビちゃん…なのか?」
「え…」
「生きていたんだな…よかった。…私だよ!わからないか?…無理もない、少し痩せたから…」
「トト…おじさん?」
「……そうさ」
昔なじみの相手の変わりようにビビは驚きのあまり口許を手で押さえ息を飲む。けれどトトはかまわず必死にビビへと自身の思いを伝えた。
「わしは国王様を信じているよ…!あの人は決して国を裏切らない!そうだろう!!…反乱なんて馬鹿げてる。あの反乱軍(バカ共)を止めてくれ!…もう君しかいないんだ」
「……っ!」
トトの悲痛な叫びにゾロの背中に乗る少女はもぞっと身動きした。それに気づいたのはもちろん彼女を抱えた本人だけ。
「アイツらの体力ももう限界さ…次で決着をつけるハラさ。死ぬ気なんだ…!!」
『……っ…』
「頼むよ…ビビちゃん!」
ハルの腕に力が入る。イノセンスを解放していない彼女の力は大したことはなく、ゾロは黙って少女を抱えなおす。
「大丈夫…、安心して!…反乱はきっと止めるから!!」
「………」
『……』
ビビはトトに微笑みながら言い聞かせ、何とか彼を安心させる。それから一味は仮眠をとるため、トトの案内により宿で休息をとった。
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