05
「ただし"楽園"には簡単に辿り着けるもんじゃらいよ。」
酒ビンを傾けながら告げるココロ。
「"海底"っていうのが気になるけど…。」
「そこはまー、行ってみりゃわかるよ。問題はそこじゃらいね。」
そう言って机に投げるのは新聞。最近のもので、一面を見るよううながす。
"今月もまた14隻…船が消えた"
そう書かれた紙面。
訳がわからないと首をかしげる一味へ、ココロが説明する。
魔の三角地帯(フロリアン・トライアングル)
魚人島へ向かう最中、必ず通ることとなる海域。その海では毎年100隻を超える程の船が消息不明になるという。さらには死者を乗せて海をさまようゴースト船の目撃情報も相次いでいるらしい。
「オバケ出んのかーーー!?コエーーー!!」
「生きたガイコツに会えるのかーー!?」
「お前どんなイメージだ、それ。」
「やだ!絶対遭いたくない!見たくもないっ!!そんな気味悪い船っ!!」
『AKUMAみたいなもんかな…。』
「アクマって何よ!怖いこと言わないでっ!その海、何が起きるの!?」
恐怖のあまり身体を震わすナミ。ココロはニヤリと笑って面白がるように続ける。
「んががが…さァね。その身に何かが起きた奴らはその海から出て来ねェんらかは…わからねェ。霧の深い暗い海ら…気をつけな。」
まんまと怖がるナミとチョッパーは抱き合いながら悲鳴をあげた。
「とにかく遭難の多い危険な海ら。出航前にしっかり準備しておく事ら。」
「商船や海賊船のなれの果てのゴースト船には…"宝船"の伝説がつきものよね。」
「ゴースト船を探すのよっ!!」
「まかせろーーーー!!」
「えー!!いやだー!!」
「ただの遭難なら食糧も充分積んでくつもりだ、心配ねェ。」
「宝船か…、刀もあるかな。」
『この世界はいろいろあるんだなー。』
各々違った反応に、ココロはただただ苦笑するのだった。
モズとキウイが一味のもとへ船が完成したとの報せを持ってくる。荷物の準備をし船へと急ぐ一味。
そんな中、ハルはチョッパーに一言告げると、彼らの向かうべき方向とは違う道を走る。
屋根の上から下道を見ながら、何かを探すように走り回る。どこにいるかなんてわからない。ただまだ素直にならない"仲間"を一人、必死に探す。
「舞姫ちゃん。」
『…っ!!』
背後から聞こえた声に、素早くその場を踏み切るハル。
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