光に導かれて | ナノ

03








圧倒的実力差によって、いくら頭数を揃えようと、ハルたちには敵わない。
バスターコールの軍艦が来る前に終わらせようとしていたスパンダムだが、遠く向こうに見える10隻の軍艦に唖然とする。

もちろん死にたくないと考える海兵たちは、ハルたちに背を向け逃げて行こうとしていた。



「そんな…。」

「ハハッ!来たぞォ!遂に来やがったぞォ!!」

この状況を理解していないスパンダムは、ゲラゲラと声をあげて笑う。


そのうち砲撃が始まり、エニエス・ロビーは一斉攻撃をくらう。
ロビンはあまりの絶望にその場に座り込み、その光景を見つめることしか出来ない。



ハルは隣に立つフランキーの服を引っ張り、ふと出てきた疑問を投げかけた。


『あいつら倒せばいいんじゃないの?』

「馬鹿かッ!国家戦争クラスの軍事力だぞ!!」

『みんなが助けられるなら、あたしはそれくらい相手できる。』


真っ直ぐなその瞳は、嘘や冗談を言っているようには見えない。本気でそう考えているのだろう。

次々と放たれる砲撃に、エニエス・ロビーはあっという間に爆炎に包まれていく。



ためらいの橋の横を素通りしていく軍艦。
スパンダムは自分がいるからだと笑っているが、ハルは近くで座り込むロビンを見下ろした。

『ロビンがいる限りここは撃たれない。けどみんな、どこにいるかわかんないから…。』




―――ゴォオオオン


ハルの言葉を遮るかのように、背後の塔から何かが飛び出して来る。
続いくように出て来るのは、腹に多くの空気を溜めたルフィの姿。

それに表情を明るくするハルは、ホッとしたように笑った。



「だぁーはっはっはっ!見たか、貴様ら!おまえらはもう終わりなんだよ!いや、最初っから終わってたんだ!!」

「勝負はついてねェ!まだわかんねェだろォ!!」

「麦わらと戦っているのはルッチだ!CP9史上最強の男、他の連中はうまく巻いたかもしれんが、奴は別格なんだよォ!!麦わらが片付いたら、次はおまえの番だ!カティ・フラム!」


勝った気でいるスパンダムに、ハルは二人の前に立ちはだかる。

その小さな身体は淡い光を放っており、スパンダムやフランキーは見たこともない異様な光景だった。

そこでやっといつの間にか癒えている傷に気づくスパンダム。


「舞姫!?あれだけいたぶってやったのに、何で…っ!?」

『今がわかるときだよ。』

「……何?」

微笑むハルに剣を取り出す。
周りの海兵はそれに怯えるように声を上げるが、少女は構わず笑ってみせた。




「後後抵抗出来ねえように、油断しているニコ・ロビンに致命傷を与えろ。」

『……。』

「くらえェ!エレファント・チョップ!!!」


剣が像へと変化し、その勢いのままロビンへ向かって伸びていく。
顔を挙げたロビンの目の前に、その切っ先鋭く光る。




が、彼女に触れることはない。

『……っ。』

「な、何!?」


小さな身体の何倍もあるそれを止めたのはハル。両腕に抱え込むようにして、攻撃を受け止めていた。

目を見開くロビンは「ハル…っ!」と悲痛な声を上げるも、もうすでに像剣であるファンクフリードは、抵抗することを諦める。
スパンダムの指示を無視して、像へと戻るそれは、ハルの気迫に押されて、そうせざるを得なかったのだ。








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