02
「おい、起きろォ!小娘!」
―――ゴッ
『……っ。』
腹部の痛みにゆっくりと目を開ける。目の前には顔をギブスのようなもので覆った男が、笑みを浮かべて立っていた。
『…誰、あんた。』
「誰だってェ!?おまえは今の自分の立場が分かってんのかァ?アァン!?」
海楼石の手錠をされたまま、拘束されているハル。少女の隣には、フランキーとロビンが同じように拘束されていた。
のぞき込むようにロビンを見上げる少女に、ロビンは目をまるくする。
『大丈夫だ。』
「…っ!」
『これくらいの手錠なら壊せる。あたしたちは絶対ロビンを助ける。』
ふわりと微笑む少女にこみ上げる想い。同じように拘束されているにもかかわらず、彼女の言葉はまるで魔法のように染み渡る。
―――ゴキッ
『……っ。』
「なぁーにが大丈夫だァ!?能力者の小娘にこの手錠が壊せるはずねえだろォが!!」
「スパンダァ!てめぇ無抵抗なガキ相手にっ!!」
ごろっと転がるハルの身体。スパンダ改めてスパンダムは、躊躇うことなく少女の身体を蹴り続ける。
腕でガードをすることなく受け続けるハルに、ロビンたちは見ていられない。
「口程にもねェ!こんな小娘が1億3000万だとォ!?世界政府は何を考えてんだァ!!」
『……。』
空色の瞳が冷たく彼を睨みつける。ロビンに向けられたそれとは、まったく違う色をした瞳に、思わず口を閉ざすスパンダム。
「な、ななんだ!?その目はァ!!」
『…ふ。あんたの蹴りなんか痛くも痒くもないんだけど、何威張り腐ってんの?』
「く…っ、クソガキがァ!!」
余裕が見えなくなったスパンダムに、ハルはバカにするように鼻で笑う。
「おい!聞け、小娘!」
『……。』
スパンダムを無視してフランキーが嬉しそうに言った。
「麦わらたちがすぐそこまでおまえらを助けに来てる!」
『…ルフィたちが。』
「ああ!そうだ!!」
「余計なことをっ!!」と怒りをあらわにするスパンダムは、今度はフランキーを蹴り始めるが、狼狽えることなく続ける。
「おまえらで必ずニコ・ロビンを助け出せ!!」
『……言われなくてもっ。』
にっと笑う少女にフランキーも歯を見せて微笑む。
「残念だったな。麦わらならブルーノと戦闘中だ!報告が来るのも
時間の問だ…」
「ロビーーーン!!!ハルーーー!!!」
「……っ!?」
「おっ!やっと来たか!」
「…ルフィ。」
響き渡る声。力強いその声は、確かに彼らの耳まで届く。
「助けに来たぞォーーー!!!」
『…ルフィ!!』
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