「ほうら、どこに気を取られておる。」


―――ドゴォオ


『サンジ！！』

「まゆ毛！！」

背後に迫る敵の影に気づくことなく蹴り飛ばされるサンジ。すぐに構えるハルの目に入ったのは、見覚えのある人物だった。



『…あんた。』

「おっ、さすがに覚えておったか。」

ウソップの様な長い鼻と、古風なしゃべり方。あの日メリー号の査定に来た船大工である。


『…船大工。』

「は、仮の姿。わしもCP９じゃ。」













「まったくおまえらどいつもこいつも…仲間同士で意地を張るのか。」

『……っ！？』

「せっかく…逃げられる…っ、チャンスだろォがァア！！！」


壁に両手と頭を付け、力のままに押し壊すフランキー。さすがのブルーノも彼の力には負け、そのまま三号車と二号車はゆっくりと離れていく。



「フランキー！！」

『あいつ…。』


離れていく二号車。三号車にはハル、サンジ、ロビン、そげキングしかいない。

フランキーが身を張って助けてくれたのだ。



「おまえら！おれには策がある！麦わらたちと合流したら、何とか街まで引き返せ！！」

フランキーの叫び声に驚きを隠せないハル。彼は仲間を傷つけた相手ではないのか。


「待って！私は逃げたりしない！！」

「…っ、待てよ。ロビンちゃん…。」

それでもなお、逃げる意思を見せないロビンに、サンジがフラフラと立ち上がる。



「この後に及んで何だってんだよ…っ！おれたちゃ、すべて事情も知って助けに来たんだぞ！」

「………。」

「政府のバスターコールっていう攻撃さえ何とかすりゃあ、ロビンちゃんがあいつらに従うこたぁねえはずだろォ！！」


サンジの訴えにゆっくりと振り向くロビン。彼女を見上げていたハルはだんだんと開かれていく瞳に、サンジを見やった。

すると、何故か彼の背後から現れるブルーノの姿。



「そのバスターコールが、問題なんだ。」

「なっ…！？」

『…どこから。』


「嵐脚。」



サンジが振り向くより先に、攻撃をし掛けるブルーノ。目の前を飛んでいくサンジに、ハルは迷わず地を蹴った。


『…っ！！』

「な…っ！？」

瞬時に背後へと回るハルのスピードに、避けることすら出来ないまま背中に衝撃を受けるブルーノ。





しかし




「海楼石の力で抑えられた能力など、微塵も怖くないわ。」

『…っ、ぅ…っ！！』


足を掴まれ床へと叩きつけられる小さな身体。受け身も満足にとれず、そのまま床へとめり込む。



「ハル！！」


そげキングの呼ぶ声虚しく、彼女からは痛みに歪む声しか聞こえない。

徐々に歩み寄って来るブルーノに、そげキングは慌ててパチンコを構えた。


「待て！！」

「何を…！？」

しかし、少しよそ見をした瞬間、再び彼の姿は消えていた。



「あ、あれ！？い…いねぇ。」

突然のことに動揺するそげキング。ゆっくりと顔をあげるハルは、かすれる声で叫んだ。


『後ろだ…っ！！』

「……え？」








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