03
全く動く気配を見せないロビン。
「どうした!案ずることはない。手筈はちゃんと調えてある。」
そんな彼女を急かすようにカバンからタコの履物(?)を取り出す。
「これが君の分のオクトパクツだ。両手両足にはめれば、窓から出て、海列車の外板に張り付くことが出来る。さぁ、気づかれる前に!」
ぐっとオクトパクツを差し出すも、ロビンがそれを受け取る気には見えない。
「ハルくんは申し訳ないが、君の能力を使ってくれ。君の分のオクトパクツは今持っていないんだ。」
『うん。』
素直にうなずくハルに、再びロビンへと向き直る。しかし、彼女から発せられた言葉は思いも寄らないものだった。
「待って。」
「…待って?」
信じられないとでもいうように復唱するそげキング。
「どうしてそんなことに…。私は貴方たちにはっきりとお別れを言ったはずよ!私はもう、二度と一味には戻らない!」
言い切るロビンにそげキングは立ち上がると、二人に背を向けるように立つ。
「君がそう言い張る理由も、彼らは全部知っている。造船所のアイスのおっさんが、何もかも明らかにしたそうだ。」
「…っ、あの人…無事だったの?」
『アイスバーグ…さん?』
はっと息を飲むロビンは、どうやらアイスバーグとは知り合いのようだ。何も知らないハルは、黙って状況を見守る。
「いえ…、それでも私は…貴方たちの元へは……。」
それでも首を縦に振らないロビン。
「何をごちゃごちゃと…っ。」
いい加減我慢しきれなくなったのか、ついにそげキングは声を大にして訴えた。
「まだわかんねえのか!おまえが心配するほど、あいつらヤワじゃねえんだっ!!そんなくだらねえ駆け引きに乗る前に、本当は一番に話して欲しかったんだっ!!」
ロビンはゆっくり顔をあげ、そげキングを見つめる。
「仲間の犠牲の上に生かされたって…、あいつらが喜ぶとでも思ってんのか!?」
『…そげキング。』
「おまえが一味を抜ける理由を知った以上…、あいつらは地獄の底まで追いかけて、おまえの敵をぶちのめすぞっ!!」
必死に訴えるそげキングを、ハルも黙って凝視する。まるで彼を見ているようで、空色の瞳を大きく見開いた。
「おまえは…、まだルフィって男をわかってねえんだっ!!」
その言葉を聞いた瞬間、隣に座っていたロビンが勢いよく立ち上がる。
「わかってないのは、貴方たちの方よ!!私は助けて欲しいなんて欠片も思ってない!勝手な真似しないでっ!!」
『ロビン…。』
「…っ!?何だと…このォ!!」
―――ドンドン
「「……っ!?」」
『………。』
扉を叩く音にピタリと言い争いを止める二人。
「何を騒いでいるニコ・ロビン。」
―――ガチャ
「どうした。エニエス・ロビーが近づいて来ては、さすがに貴様も冷静ではいられなくなったか?今さら自分の運命に泣きわめいたところで、命が救われるわけでもないというのに。」
後部車両から来たのは一人の男。席に座るロビンの元へと歩いて来る。
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