03
『やっと降ろすの?錨。』
「ここの住民たちは海賊慣れしてんのか?」
サンジの言葉通り、W7の人間は海賊である彼らを見ても恐れることはなかった。むしろ船の停泊場所を、気軽に教えてくれるのだった。
そうしてたらい回しにされた結果、街外れの岬で錨を降ろすことに。
「行っくぞーー!!!」
「待って!!」
いつものように船を飛び出すルフィ。同じくウソップも船長と肩を組み走り出していた。
そんな二人を止めるのはナミ。ハルはあくびをしながらマストへと背を預ける。
「ルフィは換金の方についてきて。」
『空島の黄金…。いくらくらいになるんだろ。』
膝に顎を乗せ首をかしげる少女に、チョッパーもかくんと頭をかしげた。
あっという間に出かけて行く3人を見送る。チョッパーは行きたそうにしていたが、行くタイミングを逃してしまったようだ。
「ハル、あとで一緒に……って寝てるし!」
ナミたちをを見送り振り向いたときには、もうすでに彼女は眠りについていた。
「船医さん。後で私と出掛けましょう?」
「おう!本屋あるかな?」
見かねたロビンが微笑むと、チョッパーも嬉しそうに声をあげる。
「何言ってんだ?早く乗れよ。」
「おれたち、もう仲間だろ。」
「…っ、船長はおれだろうな!!」
あぁ…またか……。
「海賊船ゴーイングメリー号の出来上がりだァ!!」
風になびく海賊旗…
「オールブルーを見つけるために!」
「おれは海賊王!!」
「おれァ大剣豪!」
「私は世界海図を描くため!」
「お…おれは勇敢なる海の戦士になるためだ!!」
嵐の中、5人が樽へ足を乗せる。これから始まる冒険に、彼らは胸を高鳴らせているよう。
……今回は誰のだろ。
「クジラだァ!!」
「おれの特等席になにすんだァ!!?」
船首が折れてメリーの首が甲板に転がる。黙っているはずのないルフィが巨大なクジラの目を殴れば、あっという間にメリー号は食べられてしまった。
目の前には巨大な魚。口の中へと飛び込むメリー号だが、ウソップは涙ながらに大声で叫ぶ。
「真っ直ぐ!!!!」
視界には光が差し、メリー号を阻むものはなくなった。魚の腹に穴が空いたようだが、どうしてそうなったのかはわからない。
これはもしかしてウソップの…?
「真っ直ぐ!!!!」
滅多に聞くことのないウソップの強い声。
再び目の前が暗くなる。
「大丈夫、もう少しみんなを運んであげる…。」
空島でウソップと聞いた声…?
……誰なんだろう
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