04
「お、おれ…っ!?」
気を失っていたルフィが目を覚ます。チョッパーのおかげであらかた治療は終わっていた。
自身を囲む仲間たちに、ルフィは慌てて勝負の結果を求める。
「大丈夫よ」
「おまえは勝った」
「おれの計算どおりにな!」
『おつかれ様、ルフィ』
その言葉にほっとするルフィの元へ、同じく傷だらけのフォクシーが歩み寄ってきた。
握手を求められ手をつかめば、そのまま背負い投げを噛まそうと試みたフォクシー。しかしルフィの腕は伸び、自らの額が地にめりこむこととなった。
「さぁ、麦わらのルフィ!戦利品は…?」
仲間たちの視線を背に、ルフィは堂々と言った。
「おまえらの海賊旗をくれ!!」
「おまえは鬼かァー!海賊のシンボルを奪うなんて…っ」
あまりの衝撃に騒ぎ始めるフォクシー一味。ルフィは平然と取引を続ける。
「帆はいいよ、それがなきゃ航海出来ねぇだろ」
「いいやつだなぁ、おまえ…」
一度はほっとしたフォクシーだが、デービーバックのルールに従って、海賊旗が描いてある帆も持っていけと自ら訴えた。
「んー、ならおれが新しいマークを上から描いてやるよ!」
「「「最悪だ……」」」
セクシーフォクシー号の帆にはルフィの描いたなんとも下手なキツネ(?)の絵。
麦わらの一味は無傷で、フォクシー海賊団は大事なシンボルを失い、今回のデービーバックは終了したのだった。
『馬?』
「う〜〜〜〜〜まだ!」
『……だから馬でしょ?』
「ここの生き物のはみんなどこか長いんだ!」
ウソップに言われ首をかしげるが、目の前には綺麗な白い馬が一頭。普通の馬と違うのはキリンのように縦に長いことだ。
「ほら」
ルフィは手にしたフォクシーたちの海賊旗を、シェリーと呼ばれる馬の隣に座りこむ老人へ手渡した。
「…おまえら、傷だらけじゃないか」
「いつものことだ!」
怪我をしたシェリーと、老人やルフィのやり取りに、ハルを始めナミやゾロも納得したように微笑む。
その足で老人・トンジットの家へ向かう一味。しかし、入り口へ回り込むトンジットが、何かにぶつかり尻餅をついた。
「どうした、竹馬のおっさん!?」
『竹馬のおっさん?』
何故"竹馬"なのか疑問を持ちながら、ハルもルフィの後を追う。
「なんだ!?こいつ!」
『………』
見ればかなり見上げる位置に頭のあるのっぽな男が、トンジットの家の前に立っていた。
『この島は住民も長いの?』
「違うだろ」
ハルの呟きに突っ込むゾロ。誰もが彼を見上げるなか、どさっと誰かが背後で座りこむ音が聞こえた。
『……ロビン?』
怯えるように体を震わすロビンは、尻餅をつき目の前の男を揺れる瞳で冷や汗をかきながら見上げる。
『ロビン!?』
「どうしたのよ!」
「……あ…ぁ…」
様子のおかしいロビンに気をとられていると、立っていた男はアイマスクを外し、一味を順に見下ろした。
「イー女になっちゃって〜。久しぶりだなぁ、ニコ・ロビン」
晴天、一転、曇天
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