03
「ルフィ!!」
ノロノロビームをもろに受けてしまったルフィに、ウソップが声をあげ叫ぶ。
が
―――カランカラン
「倒れたのは麦わら!いや、動いたのは麦わらのルフィだァ!!」
「ルフィ〜っ!!」
『……なんで』
膝をつくルフィとは逆に、ノロノロビームを受けたかのように鈍い動きとなるフォクシー。ハルたちは目を見開く。
「なんと、鏡だァ!麦わらのルフィ、鏡を使ってオヤビンのノロノロビームを弾き返したようだ!」
ルフィの手元に落ちている鏡の欠片。どうやら船内のどこかで、偶然手に入れた鏡で難を逃れたようだ。
「これで…終わりだっ」
フォクシーへ向き合うように立ち上がると、グローブを付けた腕を構える。
「ゴムゴムの…連接鎚矛(フレイル)!!」
フォクシーの頬へ叩きつけられた拳。しかしフォクシーは全くと言っていいほど、これと言った変化は見えない。
ルフィはしっかりと自身の足で立ち、セクシーフォクシー号の船首へとよじ登る。
『ルフィ…』
「……8」
「え?」
ふわりと笑うハルと呟くゾロ。目をまるくするウソップ。
「7…」
『ろーく!』
カウントダウンにウソップは訳もわからずテンションをあげ、他の観客をも煽る。
「5!ほら、おまえらも!…4!」
「な、何かわかんねぇけど面白そうだぞ!」
「「「3!!」」」
観客全員がウソップにつられてカウントダウンに参加する。
「「「2!!」」」
船上に立つフォクシーの顔が徐々に歪んでいく。
「「「1!!」」」
そこでフォクシーの足は甲板から離れた。
「「「0!!!」」」
その瞬間、ノロノロビームの効果が切れたフォクシーは、ルフィに受けた衝撃で海へと飛んでいき、海の中へと落ちたのだった。
「な…っ」
「オヤビン!?」
まさかの出来事に動揺するフォクシー一味。
「なんと、オヤビンが落ちたのはフィールドエリア外!!結果、第三ゲーム…勝者、モンキー・D・ルフィ!!」
イトミミズの判断にわっと賑わう観客席。船首で腕をあげるルフィを見て、一味は安心したかのように微笑む。
『………』
「ほっとした?」
『……サンジくん』
ジュースを飲むハルに声をかけるのは、いつものようにタバコを口にくわえたサンジ。
『あたしはルフィが勝つって信じてたし…、平気だよ』
笑顔でそう返すも、サンジは微笑みながら彼女の膝の上にあるものへと視線を移す。
「これ」
見れば試合前に買ったはずのポップコーンが、まだまだいっぱいに残っていた。
「ハルちゃんが食べないなんて、相当心配だったみたいだね」
『………』
目をまるくして黙りこむハルを見下ろしていたサンジは表情を綻ばせ、少女の頭を優しく撫でたのだった。
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