03
第一ゲーム、ドーナツレース
「舞姫ちゃんは出ねぇのかい?」
屋台で綿菓子を受けとるハルに、フォクシー海賊団の船員が声をかける。
『さっき発表されたじゃん。あたしが出るのは二回戦目だけ。』
「懸賞金1億3000万のあんたを出さねぇとは、おれらも舐められたもんだなァ」
ニヤニヤと笑みを浮かべる相手にハルは同じく挑戦的な笑みを向けた。
『懸賞金でそいつの強さを測るなら、そっちのオヤビンとやらは残念すぎるよね』
「……なっ!?」
『そろそろ終わるかなぁ…』
綿菓子を片手にゴール地点へと向かう。すでにゾロとチョッパーが乗っていた船は破損し脱落しており、ついさっきルフィとサンジが乗るものも脱落したようす。
結果今残っているのはナミとウソップとロビンの船と、ポルチェたちが乗る相手の船の二隻だけ。
『…勝ってるねぇ』
「おまえは緊張感がねぇなァ!あっはっは」
『ルフィに言われたくないよ』
ゴール付近にいたルフィの側に座る。特等席だと言ってもいいほど、見晴らしのよい場所だ。
「ハルちゃん、すまない!君の分まで頑張ったんだけど…」
申し訳なさそうにひざまずくサンジに、ハルは笑顔を浮かべる。
『いいよぉ、あたしなんてまだ何もしてないし!』
「メロリーンv」
目をハートにし踊るサンジから視線をレースへ移す。するとゴール前で不審な動きをするフォクシーをとらえた。
『あいつ、今さら何を…』
「おまえら惜しかったな〜」
『え?』
「何言ってんだ、おまえら」
負けているにも関わらずニヤニヤと余裕げに笑うフォクシー一味に、苛立ちを覚える。
『負けてんのはそっちじゃん!』
「オヤビンを見てみろ」
むっとしながらも彼へ視線を戻せば、右手をナミたちへ向かって伸ばしていた。
「ノロノロビーム!!」
『…………?』
彼から発射されたビームにより、ナミたちの動きは止まる。よく見れば動いているのだが、止まっているように見えるほど、動きが鈍くなっていた。
『何したの!?』
「オヤビンは麦わらと同じ悪魔の実の能力者なんだよ」
『……ちっ…』
―――パァン
「ゴォォーール!!」
実況を務めていたイトミミズの声が辺りにこだまする。
一回戦、麦わらの一味は思いもよらぬ形で負けてしまったのだった。
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