04
海楼石が含まれたウェイバーにより、エネルの雷の力を封じたワイパー。倒れたエネルの前に膝から座り込む。
ナミは岩影から飛び出し、倒れたロビンへと駆け寄った。
『………』
ほっとして大蛇へと向き直るハル。
―――ドクン…ッ
『……っ!?』
嫌な音にその足を止め、耳をすます。もう聞こえるはずのない電気の音に混じった音。
同様にその音に気がついたナミたちは、目を見開いてエネルを見つめる。
「まさか…自分で心臓マッサージを!?」
『……』
ナミの言葉にゆっくり振り向けば、エネルは口許の血を拭いながらにやりと笑みを浮かべ立ち上がっていた。
「だから無駄だと言っただろう」
「……ハァ…ハァ」
排撃貝は衝撃に比例し、彼の体に相当なダメージを残しているようで、ワイパーは荒い息を繰り返し立ち上がるのもやっとだ。
―――ガチャン…ッ
エネルが棍棒でワイパーのウェイバーを突くと、大きな音をたて彼の足を離れる。
「海楼石とは…やってくれたな、戦士ワイパー」
「……気安く…っ、呼ぶな!!」
もう戦うことが出来ないにもかかわらず屈することのないワイパーに、ハルは空色の瞳を向ける。
エネルが躊躇うことなく背後の太鼓を叩くと、目映い光と共に現れた鳥の形をした雷。
「3000万V雷鳥(ヒノ)」
『……な…』
戦えない相手に対し仕掛けるエネルにハルは地を蹴り飛び出した。
同時に飛び出すゾロは地に転がった海楼石を含んだウェイバーを掴むと、エネルへと向かっていく。
「こいつを使えば…っ」
『ゾロ!!』
「3000万V雷獣(キテン)」
再び太鼓を叩くエネル。現れた狼にハルは迷わずイノセンスを発動すると、ゾロの頭を地面へと抑えつけた。
「ば…っ」
『あ゙ぁあああ゙ぁ…っ!!!』
自らの頭上で響きわたる悲鳴に、がばっと起き上がるもすでに遅く、ビリビリと攻撃の凄まじさの余韻を残したハルが立っている。
「ほう…。いたのか、小娘……と言っても、もう聞こえていないか…」
「ハル!!おまえ何で!?」
立ち尽くすハルはぴくぴくと体を痙攣させ、何も答えない。
「…心綱(マントラ)が聞こえんな。考えてみれば、小娘の声はずっと…。」
動くことの出来ないハルにヒタヒタと近づいてくる。ゾロが立ちはだかるも薙ぎはらおうと、金の棍棒でそれを受けた。
「ハルに…っ、近づくな!」
「ふん…おまえに用はない。3000万V雷獣!!」
再び現れた狼のような電撃は、今度こそ容赦なくゾロの胸部を射ぬく。
「ゾロ!!!」
―――ドサッ
ハルの足元に倒れ込んだゾロにナミは唖然と目を見開いた。残されたのは自分だけ…。
「私の心綱が効かぬとは異質な人間ではあるが、……ここで片しておくとしよう。」
今度は頭上に位置するふたつの太鼓を叩くと現れる龍の電撃。ナミは懇願するよう叫んだ。
「やめて!!ハルはもう戦えないっ!抵抗なんてしないから!!」
「………」
『……』
<もう誰も死なないで…っ!!>
『……ナ…、ミ…』
prev |
next