04
迷うことなく放たれた青い炎。しかしそれがナミに当たることはなかった。放たれる瞬間、バズーカの軌道は変わり石造りの建物が崩れる。
ナミはウェイバーとアイサと共にガンフォールに助けられていた。
「女!また邪魔するのか!?」
瞬時にバズーカを蹴り照準をずらしたハルは、キッとワイパー見上げる。
『馬鹿じゃないの!?仲間撃たれるのに邪魔しないわけないじゃん!!』
「……まずはおまえから片付けるか」
『やれるもんならやってみな』
ピエールに乗ったガンフォールが掴むウェイバーの上でアイサが「ワイパーの鬼!」と叫んでいた。
が
―――バク…ゴクン
「『な……っ…』」
「あのバカ!」
あっという間にナミとガンフォールとアイサとピエール、そしてウェイバーは大蛇に食べられてしまった。
『ナミ!!!』
素早く地を蹴るハルが大蛇へ近寄れば、キバを出し同じく食べようと口を開く。
「ハル!やめろ!!」
『……っ…』
自ら口の中へ飛び込もうとするハルの考えに気づいたゾロの声になんとか踏みとどまるも、続けて聞こえた呻き声にばっと振り返った。
『っ、ゾロ!!』
脇腹をオームの持つ武器によって射ぬかれるゾロに、あわてて駆け寄るハルだがそれすらオームによって遮られる。
「おまえは他の青海人とは違い異質だ。」
『……心綱が使えない?』
ハルはからかうように笑ってみせる。表情を変えるオームに、タイミングよくゲリラたちが騒ぎ始めた。
「ワイパー!!」
「よくもワイパーを!!」
『………』
ゲリラや神兵が騒ぐ隙に、倒れたままのゾロへ駆け寄る。
ついでに近くに倒れるワイパーも抱えると石造りの建物に背を預け座らせ、騒がしくなってきたあたりを見渡した。
『……何これ』
あたりをドーム状囲む鉄雲。目をまるくするハルを見て神兵のひとりがにやりと笑う。
「まさにこれこそが鉄の試練の真骨頂!白荊デスマッチ!!」
「わざわざ囲いなんてしなくても…、別に逃げやしねぇぞ」
『ゾロ!』
立ち上がるゾロに笑顔をみせるハル。そんな彼女の頭をわしゃわしゃと撫でる。神兵はいまだにやりと笑ったまま。
「メェ〜!愚か者め!逃げられぬだけにあらず!」
「囲うものは白き荊だぞ、メェ〜!」
「それが何だ…?」
意味を理解出来ないゾロにハルがため息をつくが、立ち上がったワイパーが一人の神兵をあたりを囲う荊へ蹴り飛ばした。
「つまり……」
「……がは…っ」
蹴られた衝撃はもちろん、荊に背を打ち神兵は呆気なく倒れる。
「触れりゃただじゃすまねぇってことだな」
「全部片付いたらどっから出りゃいいんだ?」
『あの神官ぶっ飛ばしたら消えるんじゃないの?』
首をかしげるハルに神官ことオームは変わったサングラスを押し上げながら告げる。
「そんなことは片付いてから考えな…」
残るはゾロとハル、ワイパーたちシャンディアの戦士3人、オームと神兵3人、そしてホーリーと大蛇。計9人と2匹。
『ぶっちゃけまずあの蛇…』
「なんとかしねぇと…ナミがいる。それに……チョッパーの命の恩人も…」
「………」
ワイパーはワイパーで大蛇に食べられたアイサのことを気にしているようだった。
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