03
『……!…先行く!!』
「ちょ…ハル!?」
突然スピードを上げたハルにウェイバーのナミは追いつけない。
「なんだって言うのよ!?」
腹をたてるナミに震えるアイサが答える。
「もう声はあそこからしか聞こえない…っ」
「どういうこと!?神兵やあんたの仲間の戦士、ゾロたちもあそこに集まってるってこと?」
「うん…、もう数えるほどしか残ってない…っ」
ぎゅっとしがみつくアイサを支えながらナミは、あっという間に先に行ってしまったハルを思う。
「(あの子の野性的勘なのかもしれないけど、最後の戦いが始まったことを感じとったのかしら…。)」
「……ナミ?」
「無理しなきゃいいけど…っ」
ウェイバーのアクセルを踏むとハルを追うように速度を上げた。
『チョッパー…』
ジャイアントジャックにたどり着いたハルはきょろきょろと辺りを見回す。視界に入るのは暴れる大蛇の姿。
『なんであいつが?』
目をまるくしながらも、他にも人がいることに気がつき宙を蹴り石造りの建物に着地する。
『変な騎士!?』
「青海の娘!?何故ここに!」
「女!!まだ邪魔する気か!!」
戦っていたのはガンフォールとゲリラ。しかもゲリラは何度か会ったあの男だった。
『あたしはもともと探索チームだったし、ここにいてもおかしくない。それにあたし、あんたの邪魔なんてしてないじゃん』
眉をしかめるハルに納得のいかないゲリラが持っていたバズーカを向ける。
「黙れ!!」
『……っ…』
青い炎を出すそのバズーカに驚きながらも、容易に避けるハルはピエールに乗るガンフォールに聞いた。
『チョッパーしらない?』
「チョッパー…?」
『帽子かぶったトナカイ!』
「あぁ…。あやつは知らぬ。しかし緑頭の剣士なら…」
思いもよらない情報にパアッと顔を輝かせる。
『どこ!?』
「ほれ、あそこだ。白い犬の…」
『白い犬?……二足歩行なのに犬?』
疑問を持ちながらもガンフォールに礼を言うと、あっという間に犬の近くに着地した。
―――ザッ
「…!?」
「な…っ、ハル!!」
『あ、いた!』
嬉しそうに笑ったハルは白い犬を無視しゾロに駆け寄る。
『探した!』
ハルがへらっと笑うとピリピリしていたゾロも一気に脱力するが、目の前の敵を思いだしハルを自分の背後へと下げる。
しかし白い犬に乗っている神官の一人、オームは黙ったままじっと今来たばかりのハルを見ていた。
「(この女から…、何も聞こえない?)」
『何見てんだよ、おっさん』
ゾロの後ろから面白くなさそうに見上げるハルだったが、ちらっとジャイアントジャックに目をやる。
「……。ホーリー、分かれて戦おう。少々騒がしくなりそうだ。」
オームの言葉通り、ジャイアントジャックから数名の神兵とゲリラが登ってきた。そして
「いやあぁああ!!」
ウェイバーに乗ったナミとアイサも続く。後ろには三人の神兵。
「ナミ!?」
「アイサ!!」
「娘!!」
瞬間ゾロとゲリラ、ガンフォールが三人の神兵を倒す。
『ナミ!なんでここまで!?』
「あんたが置いてくからこんなことになってんでしょ!!」
「アイサ!そいつから離れろ!!」
「「『……っ…』」」
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