02
『……ふわぁ…、何?もう着いた?』
ナミたちの叫び声にメインマストの下でいつものように寝ていたハルが目を覚ます。
「ハル!助けて…っ」
『……!?』
ナミの声に素早く立ち上がると声のする方をのぞく、がのぞかずともその悲鳴の原因はわかった。
『大蛇!?』
ウェイバーに乗るナミとアイサはその大蛇から逃げるため、森のなかへと入っていってしまう。
「ナミさん!そっちは…っ」
『大丈夫、あたしが追うから…』
「ハルさん!?」
『ウソップとサンジくん、メリー号をお願い…っ』
―――ダンッ
それだけ言って甲板を蹴るハルはあっという間にその場からいなくなる。残されたコニスたちは、言われたとおり死守すべく辺りを警戒しつつ二人の介抱に戻った。
『ナミ!』
「ハル〜!!」
ようやくナミを見つけた時には何故か例の神兵たちに追われていた。
『また羊…?ゲリラじゃないだけましか…』
ちらっとアイサを見たあと、ウェイバーから離れ追ってくる神兵に向かっていく。それを見たナミはウェイバーの速度を抑え、ほっと胸に手を当てていた。
「ナミ?逃げなくていいの!?」
「大丈夫!ハルはああ見えて強いんだからっ」
にこっと笑うナミにアイサが振り向くと、数人いた神兵が一瞬で周りの木々に背を打っていた。
『ナミ、これからどうする気?あたしはこのまま行くけど…』
「行くってあんた、ゾロたちの居場所わかってんの!?」
『………………うん』
「適当に返事すんじゃないわよ!!」
自由すぎるハルにぎゃあぎゃあわめくナミ。見かねたアイサがおそるおそる口をはさむ。
「あたい、みんながいる場所わかるよ?」
『心綱って場所までわかるのか』
「あたしも行くわ!二人で戻るよりハルといた方が安全だもの!」
『わかった。アイサ、案内して!』
アイサの指差す先は、太く長い蔓。そこを目指してナミとアイサはウェイバーで、ハルはイノセンスを発動させ同じミルキーロードの上を移動する。
「ねぇ、ハル」
『ん?』
ナミの腰に掴まるアイサはそんなハルの姿を不思議そうに見つめる。
「ハルはスケートタイプのウェイバーを付けてるわけじゃないのに、なんでミルキーロードの上を走れるの?」
「そういえばあんた水の上も移動出来るのね」
アイサの疑問とナミの言葉に苦笑しながら丁寧に答える。
『言ってなかったっけ?あたしのイノセンスは空気の波動を利用してどんな場所でも姿勢を安定させられる。だからあたしはどんな地形でも海の上でも、例え空中でも戦えるんだ』
「便利ね〜。けど無理はしないこと、いいわね!?」
『……うん』
心配するナミに照れくさくて笑うハルはどこか嬉しそうに見える。
「イノセンス?」
アイサはイノセンスのことすらわからないが、聞いてもわからないと感じたのか嬉しそうなハルを横目に黙り込んだ。
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