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「お帰りなさーい、アレン君v何にする?」


ジェリーさんに一通りの食事を注文する。
隣を見れば、多くの人に体を縮こまらせるハルの姿。何か注文するかと訊けば、小さく首を振った。



状態を知っているジェリーさんはぎこちなく微笑んだあと、厨房の奥へ向かう。

「本当に何もいらなかったんですか?」

『……はい。』


一度だけうなずくも、忙しなく辺りをきょろきょろと見回していた。

知らない人ばかりで落ち着かないのか、体はかたかたと小さく震えている。



ここに連れて来たことが間違いだったな…、なんて考えるももう遅い。注文する前に気づくべきだったから。


「…すみません。貴女のこと考えてなくて…。」

『………え…。』

「…知らない場所で知らない人たちばかりの場所を、貴女が怖れないはずないですよね。」



縮こまる彼女を見下ろせば、桃色の綺麗な瞳をまるくして僕を見上げる。

それはとても不思議そうで、僕は思わず首をかしげた。


「…どうしました?」

『どうして…どうしてみなさんは…私のこと……そんなに知ってるんですか…?』

「……っ…」



思わず口をつぐむ。

『私が人見知りなの…見た目でもわかっちゃうんでしょうか…?』


情けなさそうに眉をさげるハルに何と言っていいかもわからない。

いっそこのまま言ってしまいたい。




貴女は記憶をなくしているだけ。

僕らは貴女の家族だ、と。







埋まらない、埋めれない








 


[ / 後 ]


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