03
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<ハルちゃんをブックマンの元へお使いにやったんだけど、神田くん。不安だからそこからハルちゃんと合流してくれない?>
「………は?」
突然入った連絡に何かと思えば、相変わらず勝手なことを言い並べやがる。
「わざわざ合流する必要なんてねぇだろ…」
<あるんだよ、それが!>
意味がわからねぇ。
合流なんざせずとも、さすがにアイツも馬鹿じゃねぇんだ。届け物ぐらい一人で出来る。第一アイツ一人で不安なんて思うようなコムイじゃねぇ。信頼ぐらいはしているはずだ。
「んなめんどくせぇことするかよ。…そこらにAKUMAが出た報告もねぇだろ?」
<違う違う!AKUMAは出なくても男はいっぱいいるだろう!?>
まさか……
<ハルちゃんに男が近づかないように神田くんの力で追い払ってほしいんだ>
完全に単なる親バカだ。
「ならなんで行かせたんだよ…」
<だってぇ、リナリーと外に買い物に行ったとき、すっごく嬉しそうにしてたから…。もっと外を楽しませてあげようと思ってv>
ため息しか出てこない。怒りを通り越して呆れる。
<待って待って、考えてごらんよ!ハルちゃん可愛いでしょ?そこらの男が放っておくわけない!現にこの前もナンパされちゃってたみたいだし、僕は心配なんだよぉ!!>
「……ナンパ?」
<そう、ナンパ!>
コムイの言葉に想像する。
…アイツなら素直についていきそうだ。相手の嘘も疑うことなく信じる馬鹿そのものだろう。
<ほら、心配でしょ?>
俺の想像した結果が見えたのかコムイが嬉しそうに尋ねる。
<任務が果たせないとかそんなことは一切心配ないんだ!ハルちゃんだからね。けどあの子は人見知りなのに素直だから、そっちの面で心配で…>
「……チッ…、どこまでだ…」
<ふふふっ…、神田くんが今いるところから一駅行ったところだよ!>
何だかんだで受けてしまう下らない任務。内容にアイツが絡んでなければこんな仕事、絶対引き受けない。
<君もハルちゃんには甘いねv>
「……黙れ…」
<じゃあ、よろしくね!…ツー…ツー…>
勝手なことばかり言って切れた通信。
駅へ向かいながらふと考えた。アイツの性格なら降りる駅も間違いかねない。
「……手のかかるやつだ…」
なんて言いながらもたった2週間しか経っていないにも関わらず、あの緩い空気をまとったアイツに逢いたいなんて……
「……チッ…」
考えただけで舌打ちが出た。