02
"なんたって私の子供たちだからなっ"
父様…それ何回も聞いたよ
そんなの父様がいたから出来たんだよ?
"双子に生まれたことを、怨まないで"
母様…あたりまえじゃんか
リクのこと大好きだもん
"どうか…異世界でも幸せに"
……父様…母様……。
無理だよ…。
二人がいないと幸せになんか…っ。
『………っ…』
目を開くと見慣れない天井。それをバックに真っ先に視界に入ったのは知らない男の顔で思わず右手を向けると紅い弾を撃つ。
―――ドォン
「………おわっ!?」
間一髪でかわした男は椅子から転げ落ち、頭を打ったのかごろごろと床をのたうちまわる。
「何してやがる…この馬鹿。」
新たな声がしたかと思うと扉の側には金髪の男が紅い髪の男を見下すように立っていた。
「ちげェよ!コイツが何か飛ばしてきたんだよッ」
彼の指差す方を見るとそこには直径30cmほどの穴が空いている。金髪の男はそれをじっと見た後、ベッドの上でかたかたと体を震わす人物に視線を移した。ハルはビクッと肩を震わすと両手を突きだし再び紅い弾を造り出す。
その腕は恐怖から震えており、それを見た金髪の男はため息をつきつつも懐から自身愛用の小銃を取り出した。
「ここは俺のうちじゃねェ…どうなろうが知ったこっちゃねェが、貴様がそれを俺に撃てば俺は貴様を撃つ。」
『………っ…』
男の言葉に恐怖心を露にしたハルは勢いよくそれを撃ち放った。
―――ドォン…ドォン
さっきより規模の大きい爆発により辺りは濃い煙に覆われる。明らかに巻き添えをくらった紅い髪の男は咳こみながらも愚痴をもらした。
「っざけんなよ!生臭坊主に糞ガキ…っ」
「まぁまぁ…その子も知らない所で混乱していたんでしょうから多目に見てあげましょう」
柔らかい声がしたかと思うと窓が開けられそこから煙が次々と外へ流れ出ていく。
だんだん晴れていく視界に目を凝らすと金髪の男の小銃を抑える眼鏡の青年と窓際に立つ金目の少年が新たに増えているのがわかった。
「ホント喧嘩っ早いんですから……すみません、お怪我はないですか?」
にこっと笑う青年に幾分か警戒心を解いたハル。そのときじっと自分を見詰める金目の少年に気づいたハルはビクッと震えながらも身構える。
金目の少年の視線にハルは、またもや両手を突きだし攻撃を仕掛けようとした。しかし少年は全く動じず逆に表情をキラキラと輝かせるのだった。
「すっげぇ!おまえらホントにそっくりなんだなッ」
『………………は?』
思わず間抜けな声を発するハルに金目の少年はにっと笑った。
「俺、悟空ってんだ!おまえ名前なんてェの?」
『……………ハル…』
小さく呟かれたそれに金目の少年――悟空は嬉しそうにまたあの輝く笑顔を浮かべる。それに見とれたハルは徐々に手を下げ始め遂には座り込む自身の膝の上へと下ろされた。
「よろしくなっ!」
笑顔を向けられて戸惑うハルに待ち望んだ彼の声が聞こえる。
「ハル!」
『…っ…リク!!』
金髪の男を押し退け部屋に入ってきたリクは一直線にハルの座り込むベッドへと駆け寄った。