06









『あんたが紅孩児?』

「……そうだ。」


以前は気を失っていたため、彼とは今が初対面となるハル。リクは片割れを守るかのように前へ出る。



「気をつけろ。こいつらおれらを狙ってる。」

『……どーゆうこと?』

「さっきのチビの言葉でもわかっただろ。こいつらはおれらを連れ帰るように誰かに命じられてるんだ。誰の命かはしらねぇけどな…。」


にやりと笑いながら氷剣を作り出すリク。ハルの手にも扇が現れた。

「まぁ、素直に連れてかれてやる気は…」

『さらさらないよっ!』


地を蹴り飛び出す双子はもうすでに戦闘体制だ。真っ先に紅孩児へと突っ込む。







―――ガキィッ



「『……っ!?』」




双子の攻撃を防いだのは彼の後ろにいた従者。リクの氷剣に同じく剣で対する。もう一方は細長い槍でハルの打撃を押さえ込んでいた。


『ちょっと、お姉さん。邪魔しないでよ!』

「そうは行きません!」

以前見た時とは違い、生きる意思の見える八百鼡の瞳。ハルは嬉しそうに笑った。



「誰、おっさん。」

「口の悪ィガキだなァ!」

カタカタと震える両者の剣。臙脂の瞳を細めるリクに、笑う男のガタイ通りのパワーにまだ小柄なリクは押し負ける。


「…っだよ、このおっさん!!」

一旦退くと一度両手を合わせ、再び男へ突っ込んだ。



「学習能力のねェガキだな!」

「うっせぇ!!」

「……なっ!?」

再び合わさる剣だが、先ほどとは違い小柄なリクが相手を圧倒していた。押し負けた男はそのまま吹き飛ばされ、自由になったリクはそのまま紅孩児へと飛びかかる。


「次はてめぇだ!!」

「ふん…望むところ…っ!?」

「オイラも混ぜろ!」

「……次から次へとっ!」

紅孩児との間に飛び出したのは、彼の妹である李厘。驚く紅孩児を放って、リクは氷剣を消すと李厘の拳を片腕でガードした。



「ふふん♪やるねーー!」

「おれらとは戦えねぇんじゃなかったのか…よっ!」

繰り出される蹴りに李厘は先ほどの男と同様に吹き飛んだ。


「李厘様!!?」

ハルを抑えていた八百鼡は、まさかの事態にふとよそ見をしてしまう。彼女がそれを見逃すはずもなく、にやりと笑うと素早く広げた扇を大きく振り鎌鼬を起こした。

「きゃあぁああ…っ!?」

『ごめんね、お姉さん。』


微笑む少女は紅孩児の元へ駆け出した。







mae ato
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テーマ「人外ファンタジー」
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