04










「どっからって言われてもなァ…」

「さてどーしたもんでしょう?」


あからさまに表情に出す彼らに、李厘はむっとして睨みつける。



「オイラが小さいからってバカにしてるなっっ?じゃあこっちからイクよ!!」

勢いよく飛び出す李厘の拳は悟浄の立っていた地面を大きく抉っていた。




「なッ…」

あまりの威力に顔を青くする悟空と悟浄と八戒。


「悟空、お前行けっっ!サイズが一番近い!」

「何でだよっ!子ども相手なら八戒だろ!?」

「それを言うなら女性の扱いなら悟浄でしょう?」

「あんなの女じゃねェよ!」


ぎゃあぎゃあと押しつけ合う三人。少女ということもあり、なかなかやる気にはならない様子。

そんな彼らの横を小さな影が通り抜ける。




「え…」

李厘の前に立つのは自分の背丈程ある閉じた扇を手にしたハル。ぎょっとする悟浄たちの気も知らず、彼女はにっと笑いその扇を李厘へ向ける。


『あたしが相手になってやるよ!』

「「何、勝手に…ッ!?」」

もちろん彼らがそれを許すはずもない。





―――ばさッ


扇を広げたハルは背後の彼らに振り向くことなく呟いた。



『みんなが戦えない相手はあたしがやってやる。あたしはもう、誰とだって争えるもん。』

「…ハル?」


リクは何も言わずにただただその小さな背中を見つめるだけ。



「術者の二人は連れ帰るよう命じられてるんだよねェ。オイラ手加減できないからお前とは戦えないよっ!」

『…………』


困ったように眉をさげる李厘。悪気はなかったのだろう。ただ本気でハルの身を心配して言ったことだった。










mae ato
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