03

 




「待て待て嬢ちゃん…正気に戻れや!たかが生臭坊主の切り傷だぞ?」

「気にすることありませんよv」


見上げると少し高くそびえ立った崖の上から悟浄と八戒が四人を見下ろしていた。



「悟浄!八戒!」

「やっと見えてきたぜ…この世界に何が起こってンのかも」

「何故僕らでなくてはならないのかも…」


会えば口喧嘩を始める悟空と悟浄は案の定今回もそれを始める。

三蔵と八戒が話している間、どこか不機嫌なハルを見てため息をつくと「行くか」と問うリク。こくんと頷いたハルを見てにっと笑うと素早く妖怪たちの背後に回った。



「…なっ…」

「ハルが怒ちゃったじゃん、おまえらの仲間のせいで」


そのまま拳を握りしめると片っ端から頭を狙って殴っていく。その拳は光を帯びていてどこか異様だった。



「た…たかが人間の腕で何故…っ」

『ばーか…。あたしらはウィザードだって知らないの?』


慌てた妖怪が振り向くとそこには自身の背丈ほどの扇を持って唇を尖らせる少女が立っていた。



「なんだ…その大きさはっ!?」

『だからー…』


扇を一振りするだけで現れる小さな竜巻。それは徐々に規模を変え妖怪たちを飲みほす。



「がっ…息……出来…っ」

『魔法だってば…』


それを横目に見ながら呟くハルのもとにリクも戻ってきた。




今では2/3の妖怪が死ぬかなんらかの傷を負うかで倒れている。



「……マホウって、怖くね?」

「……だな」


冷や汗を流す悟浄と悟空は争うのを止め喉を鳴らしながら呟く。



一体の妖怪が八戒の耳についたカフスに気がつく。


「妖力制御装置!貴様ら三人は妖怪だな?何故…何故我々に背くのだ!?」

「教えてあげよーか?」



悟空が問うと同時に三人は地を蹴り飛び上がる。




「生きてたらなッv」


―――ゴッ



「うぎゃあぁあ!!」







 

mae ato
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