04

 





『…ん……だれ…』


何者かの気配に目を覚ましたハルは真っ暗な部屋を見渡す。そこで初めてとなりに自身の片割れがリズムのよい寝息をたてていることに気づいた。



『リクか…』

ぼーっとする頭をこらえきれずに再び横になる。



その瞬間







『―――ッ!?』


突然背後から口と手足が抑えられた。前を見るとリクも自分同様何人か係で抑え込まれている。魔力以外は普通の少女と変わらないハルが、いくらじたばた暴れても大した抵抗にはならない。



「なんだ?こいつらそっくりじゃん」

「二人ともそそる顔してんなァ」

ニタニタと笑う妖怪たちの言葉にリクはキッと睨み付ける。一度両手を合わさなければ魔法が使えないリクはただそうすることしか出来ない。


「コイツ生意気だなァ…ここは素直な方からイクかァ」

視線を向けられたハルは何のことかわからずに眉をしかめる。口を手で抑える妖怪が「それじゃ…」とハルの襟元に手をかけた。




『……っ…!?』

そこで初めて妖怪の考えに気づいたハルはばたばたと暴れだす。



『…んーッんー!!』


何かを言おうとするハルにいまだニヤニヤと笑い続ける妖怪は余裕の表情をみせる。


「仕方ねぇなァ」

パッとその手が放された瞬間その妖怪は消えた。





「………は?」


その片割れと同じように妖怪たちをキッと睨むハルの口からは白い煙が出ている。他の妖怪がぼけっとしている間に扇を手にしたハルがリクに向けると迷いなく振った。



「ちょ…ι」


―――ガガガガッ

あまりの風圧に数人の妖怪と飛んでいくリクだがその合間に手をしっかりと合わせた。




―――ゴッ…ガゴッ


それから全ての妖怪を倒すのに一分とかからなかった。辺りには双子にヤられた妖怪たちが呻き声もあげることが出来ないほどに倒れている。



『マジあり得ないから!!』

「死ね!そのまま死ねッ!!」


ベッドの上に立ち倒れている妖怪たちを見下ろす双子の額には珍しく青筋が浮き出ている。

「あ」


声をあげるリクに首をかしげるハル。



「俺たちのとこにこいつらが来たってことは…」

『三蔵たちが!!』


ばたばたと部屋を出ていく双子は足元の妖怪を容赦なく踏みつけていった。







 

mae ato
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