03

 





「ところでこの界隈での妖怪の動向はどうなってるんだ?」


三蔵が訊ねると朋茗の父は辛そうに顔を歪めると話し出した。

「どうもこうもないがね、ちょっと前まではこの町にも妖怪が普通に生活してたさ」



ある日を境に妖怪達は暴走し町の人間を十人程食い散らかしてみんな何処かへ消えたらしい。一人考え込む三蔵を横目に双子は朋茗の異変に気づく。


『朋め…』

「……あたし妖怪なんて嫌い」

「朋茗」



お盆を抱きしめ必死に訴える朋茗に全員の視線が集まる。

「だって人間喰べるのよ!?ただの化け物じゃない!…人間と妖怪が一緒に暮らすなんて無理よッ、町のみんなもそう言ってる!!」

「朋茗!」

父の声にようやく黙る朋茗は目元を涙で濡らしながらそっぽを向いている。


「すまんね…妖怪に喰われた被害者の中にこの娘の友達がいたもんだから…」

そんな彼女を珍しく真剣にじっと見詰める悟空に気づいた双子は顔を見合わせると空気を切り換えるかのように大袈裟に声をあげた。



「『ごちそーさま!!』」


突然の大声に視線は一気に彼らへ移る。


「激うまだったなァ」

『特にこのピラフ!!』

「……この料理全部朋茗さんが作ってくださったんですね?」


双子に合わせるかのように手を合わせる八戒の言葉に悟空が食いつく。



「マジで?すげーじゃん!こんなウマイ物久々に食ったよ俺!さんきゅなッ」

ぱあっと表情を明るくする悟空に安心したように微笑む双子。八戒はそんな二人の頭を優しく撫でる。


「…あ、ありがとう…」


照れたように呟く朋茗も気が紛れたように見える。それを見た一行は安心し部屋へと向かった。
















「ンだよてめェ勝ち逃げすんなよ!」

「あと一回だけって言ったのてめェだろ!?」

たかがゲームにぎゃあぎゃあ騒ぎだす悟浄と悟空。ハルは既にベッドで寝ておりリクはぼーっと窓の外を見ていた。


「……なんだ?」

ざわざわと騒がしくなった窓の外。それに気づいた悟浄が教えてくれる。


「ああ…さっき団体客の予約があったって、旅の一座だとよ」

悟浄のいうようにさまざまな人がぞろぞろと歩いていた。中には綺麗な女性、不思議な雰囲気を纏った男もいる。


「踊り子の姉ちゃん達イケてんじゃん、俺のベッドでも踊ってもらうか」

「…ハルが起きてたら殺してたな」



窓の外を見る三蔵に悟空が部屋割りについて訊ねる。


「団体客が入ったから個室余ってるって朋茗が言ってたぜ」

一瞬考える三蔵だが結局の決断は…


「宿屋に来てまで野郎の寝顔は見たくない、解散!」

ぞろぞろと四人が部屋を出ていき、もう既に寝入っていたハルとリクは同じ部屋で寝ることになった。






 

mae ato
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