05

 






『あたしたちの国では使える人は限られていたけど知らない人はいなかったよ』

「親がウィザードなら子もウィザードになれる才能を秘めてる」

「なら貴方方のご両親のどちらかがその…"ウィザード"ってことですか?」


こくりとうなずく双子の隣では冷静な八戒とは逆に目をキラキラ輝かせながら話を聞く悟空の姿。



「オレ、まだちゃんとハルのマホウ見てねぇ!見せてよッ」


あまりに楽しそうな悟空の表情に思わず笑いながらもハルは『じゃあ…』と呟く。



『あたしは火と風を操れるの。』

そう言って人差し指を立てるとその指先にぽぅっと紅く丸い物が現れた。


「これさっき俺に向かって飛んできたヤツっ!!」

「これがマホウかー!スゲーなっ」

『あとねあとねっ!』

悟浄と悟空の反応が嬉しかったのか次々といろんな魔法を見せ始めるハル。三蔵と八戒は真剣にそれを見ていたが遂に三蔵が口を開いた。


「貴様の力は…この世界にはない」

『……わかってる。てか、単品扱いしないでよ。』

何故か三蔵に対してはまだ冷たい表情しか見せないハル。


「……というと」

「まあ、双子だし…リクも使えるって思うのが妥当じゃね?」

八戒の問に答えるのは意外にも悟浄だった。三蔵と八戒は確かめるようにもう一人の片割れへと視線を移す。



「そりゃ、親一緒だしね…俺もウィザードだよ」

「スゲーっスゲー!リクも紅いの出せんの?」

まさしく猿のようにきゃいきゃい騒ぐ悟空にハルと同じように笑いかけるリク。


「残念だけど俺が出せるのは"水"…かな。」

差し出された手のひらの上には蒼いボヤけた物体が現れた。


「ま、あんま使わないけどネー」

パシャッと音をたてて床へ飛び散るそれは水そのもので単純な悟空はそれだけで喜ぶ。


「スゲー!マジ水じゃんかッ」

『だから言ってるじゃん。』


けらけらと笑う双子を見る三蔵は深く何かを考え始める。それに気づいた八戒も何か気づいたように俯いた。







 

mae ato
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