「イヤ、すまなかったねっ手を煩わせて」

「そう思うならもう少し考えて行動してくれ…」

「考えているともっ!けれど中々由希の心を開けなくてね。」


車への道のり呆れたように返すはとりに揚々と話す綾女。



「由希もバカじゃない、ただ…まだ子供なだけだ…譲れないものがまだたくさんあるだけだ…焦る事はない」




<焦らなくて大丈夫だよ!>



「―――…透君て君に少し似ていたよ」




<これから歩み寄ればいいじゃん>



「なつめはやっぱり…君にとても似ていたよ。」

「なつめが?」


首を傾げるはとりに綾女はうつ向きながら続ける。



「他人の事ばかり一生懸命になったり…」




どうして



「ボクはそういうのに本当…弱いなぁ……」



どうして言って欲しい言葉を


言ってくれるんだろう。



顔を上げた彼の表情は少しはにかんだ笑顔だった。





「敵わないよやっぱり、とりさんには…」





"焦る事はない"












『ハルに助けられた?』

「………なつめ」


ぼーっと座る由希の隣にしゃがみ顔をのぞきこむ。



『あーやは相変わらずだったねぇ』

「どうしようもないよ…あの人………でも」

『"でも"?』



由希はすっと顔を上げると真っ直ぐになつめを見詰めた。


「自分に無いものを持つ人に対して……素直に好意を示すことができるのは……すごい…と思う……」

詰まりながらも伝えようとする由希になつめはにっと笑う。



『ゆんちゃんも成長したね!』

「え?」


きょとんとする彼に目を細め微笑んだ。






歩み寄ればいい…お互いに







 


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