『…っ慊人!!』

「なつめ…」


透の横を駆け抜け由希たちを引き離すときっと慊人を睨みつける。



『何…やってんの…』

「なつめ…君までそんなこと言うんだ……どうして?前はもっといい子だったじゃない…」


面白くなさそうに笑う慊人になつめはふっと目をそらす。




「…あの女?」

『違う!!彼女は関係ない…』

「ふーん…ならなつめ自身がいけないんだね?」





―――ドンッ




突然突き飛ばされた慊人。





やったのは震える透だった。


「すみません…そろそろ教室に戻らないと……その怒られますので………」



透の行動に驚くなつめと由希。

慊人は静かに微笑むと素直に謝り帰っていった。窓から見ていた夾をしっかり嘲笑うかのように一瞥して。































「透君のこと…ブスだってさ」

縁側に並ぶ二つの影。



"由希もねぇ…必ず僕の処へ帰ってくるよ…


だって未だに僕をみて怯えてるんだ…






僕の事











忘れられない証拠だよね…"




「…長い長い間暗い部屋に閉じ込めてあれほど精神的にいじめぬけば……忘れられない傷にもなるよねぇ」

そう呟くのはいつになく真剣な表情の紫呉。


「……だが慊人は理解っていない」

煙草に火をつけるはとり。



「傷つける人間もいればその傷を包み込んでくれる存在も確かにいる事。」


二人の頭に二人の少女の笑顔が浮かぶ。
一人は最近出会った柔らかい雰囲気の少女。




もう一人はよく知った優しくて強くて弱い少女。



「それは少なからず勇気をくれる…」




紫呉は自然と頬を緩める。


「それにアレだよね…透君は可愛いよね!メロメロにィ!…なつめちゃんの次に。」

「…おまえが言うと犯罪臭いぞ」




「なつめちゃんは強いけど弱いよね〜」

「………そうだな」

「まあそこが可愛いよね〜」

「……………」

「あれ…同意なし?」

「………さあな…」

「はーさんったら照・れ・屋!」

「……帰れ」








包み込んでくれる存在






 


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