「そーだっ!ねーねー3人共!お話があるんだぁ」

「なんだよ改まって…下らねぇ事ならシバくぞ?」


あからさまに嫌がる夾と不思議そうな由希。

















「なつめさんたちは紅葉君や撥春さんに会えたでしょうか…」


これから毎日大騒ぎだと由希君も夾君もやつれてしまうかもです。



想像すると緩む頬に透はこれからが楽しみで仕方がなかった。





「楽しそうだね…」



声がする方を見る。








"来てるんだって…学校に"




そこには全身黒い服をまとった綺麗な青年の姿があった。











"…慊人"




























「俺たちも知らなかったんだ…さっき入学式の会場で先生(紫呉)から聞かされたんだ…慊人が急に自分も行くって言いだした…って」

「だから…皆より遅れて学校に着いてると思う。」



黙り込む3人に紅葉は辛そうに笑う。

「ユキ達にも教えておいた方がいいと思ったんだ…会いたくないなら尚更…」


しかし由希は黙ったまま踵を返すとどこかへ行ってしまった。



『ゆんちゃんや夾ちゃんとは会わないで帰ってほしいな…慊人』

「……心配?」

ぽんっと頭に乗せられる手に小さく微笑む。


『春…、あたし行くね』



そう言うとパタパタと走って行った。


























「あ……慊…人……さん…?」

「……そうだよ…本田透さん」


確かめるように絞り出す声に無表情のまま答える慊人。



「……!はっ初めまして!」

驚き焦る透の脳内にふとよぎるはとりの目の怪我。


…この方がはとりさんの目を



「…ふぅん…女の子らしいし優しそうだしいい人みたいでよかったよ!何よりスゴク可愛いしねっ」

にこっと笑う慊人に透は思っていたイメージと違うことに少し戸惑う。
「これからはぜひ仲良くやっていきたいね…」

その言葉に顔を上げ慊人の目を見る透。



「……なつめ達の事もどうぞよろしく…」

「………っ…」






「慊人……」



声のする方を見るとそこには目を見開いた由希が二人の方へ向かってきていた。


「あ……由希!会いたかった由希!なんだかもう長い間会ってなかった気がするよっ」

「何をしてたの…」

「大人っぽくなったね…背だってのびて…」

「本田さんに何をしたのっ」


話を聞かない彼に対しつい声をあげる由希、慊人は面白くなさそうに由希を見上げる。




「ねぇ由希…そんな事より僕は君にどうしてもききたい事があるんだ」

そっと近づく慊人はにやりと妖しく微笑む。


「どうしてお正月…サボったりしたの?どうしてそういう事するの?最近の僕ってけっこう寛大になったのに…」


透には彼が何を言っているのかは全く聞こえない。しかし目が笑っていないことはよくわかった。




「もう一度教育しなおすしかないかなぁ…君専用のあの部屋でもう一度一日中…君の人となりを教えなおすしかないのかなぁ…」



「………っ…」







 


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