登場してからぐちぐちと説教を始める竹井誠は、なつめや撥春の白い頭に、撥春のジャラジャラした装飾品、紅葉の制服に対して注意(?)をする。彼の話を全く聞いていないなつめはちらっと撥春を見る。
あ…そろそろ……ι
―――ブチッ
なつめが思ったと同時に何かが切れる音が聞こえた。それはもちろん撥春がキレる音で…
「うるせぇ…お山の大将気取ってんなよ…耳障りなんだよ!クソ野郎…っ!」
ぎょっとする由希と夾の隣で少し口角をあげるなつめ。
「春……」
竹井誠はあまりの豹変におどおどし始める。
「それじゃあきかせて頂くけどよ…三つ折り靴下はいてりゃカツアゲしねぇのか?ピアスしてなきゃいじめしねぇのか?髪が黒けりゃ人殺さねぇのかよっ!何様のつもりだ、てめぇ…神様か!?あ゙ぁ!?」
見事にブラックを降臨させた竹井誠は手も足も出ずやられたい放題。止めに入ったはずの夾も撥春の口車に乗せられ言い争いが勃発する。
さらに二人の女には紅葉の成長後の姿、竹井誠には由希の女装姿を想像させ巧みに洗脳する。
「春…いい加減にしないと縁を切るぞ…っ」
「文v言葉の文vv」
マジギレモードの由希にも恐れることなく接する撥春。
妄想世界からもとの世界に戻ってきた竹井誠は最後だと言うように声をあげる。
「ならばその髪!それが地毛であるという釈明ができるのかな!?」
「できるもーん」
「ほっほーうっ!どう立証する!?証拠はあるのか!?れっきとした!」
勝ち誇ったような竹井誠の服を撥春はすました顔でガシッと持つとずるずると引きずってトイレへと入っていく。引きずられていく彼の顔は涙で濡れていた。
少しして出てきた彼の表情は未知の物を見たばかりのためか、あまりの驚きに混乱していた。
「今日のところは私の負けだ…だが!この次はこう上手くいかんぞ!一網打尽だ…っ!」
逃げていく竹井誠を見て飴を舐める紅葉がけろっとした顔で問う。
「結局なにしに来た人なの?」
だから…と呆れる由希。それに重ねてきょとんとするなつめ。
『ねぇ、なんでトイレで地毛ってわかったの?』
「「Σ……っ……!?」」
素朴な質問だが由希と夾はそろって固まる。
撥春だけはにやりと妖しく笑うとなつめのアゴに手をやり、ぐいっと鼻と鼻があたるぐらいに顔を近づける。
「可愛いなァ…#なつめは#v…いいぜぇ、なんならもういっそのこと…やっちゃう?v」
『何するの?…近いけど』
「「わーーっ!!」」
慌てる二人に撥春は構わずぐいっとなつめの腰に手を回す。
「へーきだって…俺ら親戚だから大丈夫……出来たら出来たで育て……」
―――ゴッ
……ブラックだけは手に負えない。
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