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ああ、痛い。死ぬのはこんなにも。痛い。
どうしてこんなことに。それも運命なのかしら。
でも、別にいいわ。生きながらえたとしても私に明るい明日はやってこないのだから。
平凡な島に生まれて平凡に生きられなかった私。この世に生をうけて幸せだったことなんて1度もない。
だから死ぬのは恐くない。
痛いのは嫌だけど。
また1人、また1人と倒れていく人だった、もの。
私ももうじき人だったものになると思うと初めて涙が出た。死にたくないと命乞うわけじゃない、だけど涙が出た。
「おい、しっかりしろい!」
その声に呼応してうっすら目を開ける。
目がかすみ、よくわからないが誰かがそこにいた。
その誰かは私を揺り動かし必死になっているのがわかった。
「あ、…」
神様はどうやら最期にいい夢を見せてくれたらしい。
そこに一瞬見えた誰かは忘れることない初恋の人。絶対ここにはいるはずのないあなた。
「ま、るこ…」
ああ、やっぱり私死にたくない。欲がでた。
マルコ、マルコ。私あなたが好き、大好き。まだあなたに伝え足りないの。
「マルコ、だいす
世界は残酷な癖に、時々優しい顔をするから困る
あなたに出会えて幸せでした
企画サイト両日様へ提出
ありがとうございました