外が騒がしい。どうやら朝になったようだ。長いと思っていた夜も眠ってしまえば一瞬だな、と思った。
「おはようナマエ!」
外に出ると珍しく早起きのエース隊長がいた。
「おはようございますエース隊長。珍しいですね、隊長がこんな時間に起きてるなんて」
「いや、それがよーマルコの部屋から笑い声が聞こえてきて何事かと思ったらあのヤローいつもみたいにすました顔で『どうした、やけに早いな』って。起こしたの誰だと思ってんだよ。しかもなんで笑ってたか教えてくれねーしよー…」
そうだ、エース隊長とマルコ隊長の部屋は隣だ。私達の声が聞こえてもおかしくはない。
隣がエース隊長でよかった。もしサッチ隊長だったりしたら確実に聞き耳を立てられていただろう。我が隊長ながら鈍感でよかった。
「お、噂をすれば…マルコー!」
食堂から朝食を終えたのであろうマルコ隊長が出てきた。
「なんだい?」
「なんで今日は朝っぱらから笑ってたんだよ?そんな面白い話なら俺にも聞かせろ!」
「…ナマエに聞いてみろ」
「なんだ?ナマエ知ってんのか?」
「…わかりません」
マルコ隊長は微かな笑みをうかべていた。やっぱり嫌い、マルコ隊長のこういうところ。
「なんだよ2人してだんまりかよ。どうせ2人で何かしてたんだろ?あーやだやだ。お熱いお2人さんの邪魔だろうから俺はとっとと退散するよ」
そう言ってエース隊長は食堂のほうに行ってしまった。
お熱いお2人さんか…苦笑いしかできないな。やっぱりエース隊長は知らない、私達が別れたことを。ううん、きっとこの船の誰も知らない、親父でさえ。
取り残された私はエース隊長にならって朝食を食べに食堂へ行こうとした。だがマルコ隊長がそれを許さなかった。
「なんで逃げようとするんだよい?」
「一緒にいるのが嫌だからです」
きっぱり言うとマルコ隊長は顔をしかめて昨日の夜のように乱暴に私を引っ張った。
「っ!離してください!」
「隊長命令だ。ついてこい」
「…っ、ズルイ」
私はしぶしぶマルコ隊長についていった。
絡みついた糸
マルコ隊長はズルイ人
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