「あのーエースさーん」
「おう、なんだ?」
「どこまで行くんですかー」
早くみんなんとこ帰りたいんだよね。まあ帰り方わかんないから着いてきたわけだけど。でもあまりにも私が元いた場所よりはなれすぎではないでしょうか。さすがに私、泳いでこんなに来れないと思うんだ、うん。
「あと少しだ」
「はーい」
素直に返事した私がいけなかった。素直にエースさんを信じた私がいけなかった。結局、このあと1時間も歩かされたんだよね。
「お前、歩くの遅えな!」
「私は標準です!エースさんが普通じゃないんです!!」
はるか100メートル先を行くエースさんと怒鳴りながら会話をする。おかげでさらに疲れた。
「着いたぞ!」
「本当ですか!」
「お前さっきまで俺の200メートルぐらい後ろ歩いてなかったか??」
「ノンノン、細かいことは気にしない。で、どこに着いたんですか?」
「船に決まってんだろ」
あー、このでかい船。スゲー部屋数いくつあんだろ。わお、なんてハイセンスな帆。てか今時帆船とかレトロだなおい。
冷や汗が全身から吹き出た感じがした。
「ほら、行くぞ」
船内に連れ込まれた。どうかこの船が海の盗賊の船じゃありませんように。
「親父、こいつが仲間になりたいって」
ちょっと表現誇張しすぎじゃないかいエースさん?とツッコミたいところだったがあまりにも大きな人を目の前にして私は何も言えなくなった。
帰りたいよお母さーん!
もう逃げたい…
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