島が見えたぞー!

誰のものともつかぬ声が船に響き、水平線だけだった景色に変化がもたらされて早1時間弱。浮き足立つ船員達につられて、私まで気分が高揚している。数日ぶりの陸地。基本的すぎる私の世界との初めての共通点だった。


「楽しみか?」


雰囲気に出ていたのだろうか、ベンさんが面白そうにこちらを見ていて少しだけ恥ずかしさを覚える。思わず目を泳がせてしまった瞬間、地響きの様な音と一緒に、船が揺れた。


「え、わっ...!」


あまりにも予期してなかったその揺れに足がもつれる。すると二の腕をぐっと引かれ、斜めになっていた体勢が真っ直ぐに整えられた。


「...碇を下ろす時は揺れるから気をつけろ」

「はは...。遅かったみたいです」


ベンさんがさっきまで手に持っていたタバコを口に咥えながら言う。普段の生活の場が船上の彼からして見れば、この揺れで体勢を崩すとは思っても見なかったのだろう。


「ほら、お頭が待ってる。行ってこい」


そして背中を押され、促されるままに数歩足を出すと、シャンクスさんがこっちに向かって手を振っていた。


「おー!降りるぞ!」


その楽しそうな満面の笑みにつられて私も思わず笑みを浮かべ、次にベンさんに向かって声をかける。


「いってきます」


それを見た2人が目をぱちくりと瞬かせ、私を間に挟んで見合わせた後にシャンクスさんは大きく笑い声を上げ、ベンさんもまた小さく笑っていた。







(はじめて見る純粋な笑顔)












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