起きた時、夢ではなかった事に落胆した。見渡しても、気を遣ってくれたのか部屋の主でもあるシャンクスさんは部屋にはいなかった。
窓の外はまだ暗い。慣れない船の上での就寝で、いつもよりもずっと早い時間に起きてしまったが、なんだかんだで寝れてる自分が少しおかしかった。


「まだ暗い...」


もそもそとベッドから起き上がる。水平線の向こうに、ほんの少しの光が射してるが、ほとんどはまだ暗い。明け方あたりだろうか。

昨日の夜に、大まかに船内の事を聞いた。ここは船長の部屋だからシャワーが付いてるが、基本的にはみんな一緒の浴室である事。そして他は大部屋がいくつかあり、そこで船員は寝起きしている事。船尾の方、奥には武器や食料の備蓄庫や倉庫がある事。食堂には大まかな時間は決まってるものの、各々が好きな様に出入りして、食べたり、飲み物や軽食をもらっている事。晴れてる日は洗濯や掃除などの雑務をし、空いてる時間は好きに過ごしているという事。船の上という事以外は、大体寮生活の様な感じなのかと聞いて一人納得した。

何をやるかは、明日決めるか。そう言って笑っていたシャンクスさんの言葉に、ゆっくりせず何かしたい、そう思った。何でもいい、体を動かして気を紛らわせたかったのかもしれない。でも扉の向こうに、人の気配も、物音も聞こえない。どうしよう、とりあえず人のいそうな所に行こう。


「食堂かなァ...」


部屋を好きに使って良いと言われたものの、部屋の主がいない状態で使うのもはばかられる。せめてタオルを借りて、濡らして顔を拭いた。手首につけていた髪ゴムはそのままだったので、軽くまとめて部屋を出ようと扉の前に立つ。

ふー...。と深く息を吐いた。
扉の向こうは、私の知っている所じゃ無い。この部屋だってそうだ。昨日聞いた話も、半分理解できてれば良い方だ。まるで映画や童話だ。自分の身に何が起きているのかもピンときてない状況だが、昨日、私は確かに恐怖を感じ、痛みを感じ、シャンクスさんと話した。起きてみたら夢でした。なんて事は無かったけれど、目の前の光景に嘘はない。夢なんかではないのだ。
心を落ち着けるための深呼吸をし、よし!と自分を奮い立たせ、私は食堂へと向かった。





(止まっているのが怖い)














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