芝居がかった台詞が、薄い闇の中に響いた。言わなくてもわかる、ジェームズだ。あまりに役者のような台詞を次々と言い放つものだから自然と笑みが漏れた。そして、ジェームズが合図にしていた所で、俺とリーマス、ピーターが杖を振る。


「では諸君!残り短いパーティーに、我ら悪戯仕掛人が花を添えよう」


ジェームズの声が反響して、無数のコウモリが飛び出す。広間のあちこちから大小様々な悲鳴が聞こえてくる。薄い闇の中、満足そうにジェームズの笑みの深まった口元を見てアリスに出てくるチェシャ猫を連想した。

そしてパチン、とジェームズが静かに指を鳴らすとコウモリ達がパッ、と瞬時に姿を可憐な花やキャンディに変え、僅かに発光しながら広間中に落ちていく。それに感嘆の声を出す生徒達と、


「ポッター!」


マクゴナガルの怒声に穏やかに笑うダンブルドアの声。ジェームズと互いに顔を合わせると、彼は楽しそうに笑い、リーマスはそれを見て小さく溜め息を吐き、ピーターは慌ただしく顔色を変えて。それぞれの反応をしっかり確認する前に、走り出す。今マクゴナガルに捕まればマグル式で空き教室を掃除、なんて事があるかもしれない。ダンブルドアがマクゴナガルを宥めるまでしばらく姿を眩ませなければ。そう思い、一斉に駆け出した。





(すれ違いの視線)
















×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -