パーティーはそれなりに慣れている、つもりだけれど、ホグワーツのパーティーはその中でも相当豪華な方だと思う。テーブルに隙間無く置かれた肉や魚の料理は美味しそうに湯気を出していたり、サラダ類はとてもみずみずしい。かぼちゃのランタンも真ん中に置かれていて、それを取り囲むようにかぼちゃの料理も置かれている。はなやかとは言い難いのは、ハロウィンらしくランタンや蝋燭で光を灯しているからだろうが、中で楽しむ生徒達の笑い声はそれを気にしている様子はない。ともだちはと言えば、レイブンクローの男の子に誘われ、今は緩やかな音楽の流れる広間の中で楽しげにダンスをしている。

広間を眺めながらお皿にとったローストビーフを口に入れた。美味しい。肩から落ちたストールもう少し食べようとテーブルに足を向ける。テーブルに並べれたお皿に空間が多くなった事に、このパーティーも終盤に近いことに気付いた。楽しい時間ほど早いものだと、ローストビーフではなくかぼちゃのタルトを手に取った。程よい甘みが口一杯に広がって、思わず頬が緩む。


「なまえ」


ともだちの声に食べ掛けのタルトをお皿に置いて、振り替えるとダンスが終わったらしい彼女が快活に笑いながらこちらに向かってくる所だった。よほど楽しかったのか、こちらもつられて笑ってしまうような満面の笑みだった。


「なまえも踊れば良かったのに」


前と反対の台詞に苦笑して首を横に降った。楽しげだとは思ったが、不思議とそんな気分になれなかったのだ。


「いい。ご飯美味しかったし」

「なまえらしい」

「どうとでも」


呆れともとれるような言い方に肩を竦めて見せる。ともだちもまた微笑んで食べ掛けのタルトに手を伸してくるのでお皿を前に出した。美味しいね。そう笑うともだちに頷いて私はジュースでも飲もうと振り返る。鮮やかな赤色のジュース。隣のグラスを手に取って、ゆっくりと注ぐ。


「ねぇ、ともだち。なんだか今の格好にとっても合ってない?」

「合ってるけど…、なにそれ、トマトジュース?」

「んー…」


訝しげに見てくるものだから、一口だけ口に運ぶと、爽やかな味が広がって。オレンジジュースだ。見詰めてくるともだちを見て、オレンジジュースだと言おうとして口を開けようとした瞬間、フッと広間の明かりが消え去った。






(お集まりの諸君!そんな声が反響した)















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