「これって…」

「そんな顔しないで。大丈夫、絶対に似合うから」


ともだちが得意気な顔をして私の服を整える。裁縫魔法が得意なともだちはあれから自分と私の分の衣装を作り上げた。さすがだと感心していたのも束の間、私の衣装よと差し出されたのは背中が大きく開いたショルダーレスの黒いワンピース。膝下くらいの丈の気持ちパニエで楕円のフォルムにしたスカートは可愛いけれど裾はざくざくと切れているから甘い雰囲気にはあまりならない。合わせて差し出されたチョーカーと、肘まであるだろう手袋に、うんと高いハイヒール。黒で揃えているところを見ると、一応私が最初にぽろっと言った魔女とかをイメージしてくれてるんだろうけど。


「背中開きすぎじゃない…」

「いいのよ。パーティーなんだから少しくらい肌見せた方が」


そう笑って自分の着替えを始めるともだちを横目に、部屋に一つ置かれた姿見の前でくるっと回ってみる。やっぱり開いてる。ともだちにせめてショールだけでもと言うと、しょうがないなぁとお許しが出たのでショールを掛けた。うん、あったかいし恥ずかしくない。姿見でもう一度後ろ姿を確認して息を吐いた。やっぱりあれだけ開いていると恥ずかしいものがある。


「さ、次はメイクに取りかからなきゃ」


嬉々として振り替えるともだちは未だかつて見たことがないような笑顔で近寄ってくる。逃げ腰の私を見て大丈夫だからねと子供に言い聞かすように手を伸ばす。無理だ、逃げられない。そう悟った私は大人しく椅子に座ったのだった。





(まさかこんなに力が入ってるなんて!)














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