いってらっしゃい。彼女はいつもそう言って笑う。僕の好きな笑顔で、声で、仕草で。彼女も僕と同じエクソシストなのだと忘れてしまうくらい、いつも柔らかな笑顔でみんなを、僕を送り出す。


「アレン、また行くの」

「はい、今から、急だけど、」

「そう」


心配そうに一度だけ視線を下に向けて、そして僕を見上げながら、いつもの優しい笑顔で、


「いってらっしゃい」


そう言う。それが嬉しくて、頑張ろう、そう気合いを入れ直す。今回は長引きそうだから、何か持って帰ろうか、そう思って、彼女に背を向けた。


「気をつけてね」

「はい、いってきます」


どこか不安を隠しきれていない彼女の声に、それを振り払うように力強く応えると、彼女は笑顔で頷いた。ゆらゆら。ゆらゆら。僕を乗せた小舟はいつものように揺れながら彼女から遠ざかる。彼女もまた、いつものように、薄暗い闇にのまれた。









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