■ 相澤先生

(拍手ログ)


「相澤先生!」


相澤先生の後ろ姿を見つけ、忠犬のように走り寄れば眉間に皺が寄る。声かけただけなのだからそんな嫌な顔しなくても良いのに、と思ってしまうが普段の接し方がアレだからなのだろう。


「なんだ」

「見つけたから呼んだだけです」

「あのなぁ...」


はぁ、とため息を吐かれる。その隣を歩けばなんだ、と見られた。用事は無いですって言ったじゃないですか。


「...こんなおっさんに付きまとって何が楽しいんだか」

「相澤先生はおっさんじゃないですー」

「高校生と比べりゃ十分おっさんだよ」


ぽん、と頭を一度だけ撫でられる。明らかな子供扱いなのに、きゅんとしてしまう私は相当重症だ。自覚してるけれど。


「さっさと教室戻れ。授業が始まるぞ」

「はーい。あ、相澤先生」


ちょいちょい、と袖を引っ張ればまだ何か?と言わんばかりの視線が寄越された。そんなこと御構い無しに、ぐいっと引っ張れば相澤先生の体が少し傾く。そのタイミングでちゅ、と頬っぺたにキスをすれば、珍しく驚きに目を見開く相澤先生が視界に入る。


「っ、お前なぁ!」

「ふっふっふ、隙ありですね!」


怒られる前に(もう遅いけれど)逃げるように体を反転させて軽く走り出す。一応ヒーロー科生徒の瞬発力なめないでくださいな。また後でー!と手を振ったが、相澤先生は疲れたと言わんばかりに肩を落とし反応は返してくれなかったが、私は相澤先生のその様子に満足してにこにこ笑顔で教室に戻るのだった。










(おいおい、どうしたんだよイレイザー!ため息なんかついちまって)
(うるせぇ、俺に構うな)

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