■ 教員たち

全寮制になる事が決まった。それに伴って、生徒たちの荷物の搬入作業にそれぞれのクラスの担任やフリーの教員みんなが総出になって当たっている。

とは言っても、基本的には業者に指示を出すだけだ。あまりにも目に余るものは運び込まないようにするだけなのだが、人数が人数なので中々に忙しい。


「相澤先生、A組はどうですか?」

「あぁ、もう終わる」


てきぱきと業者に指示を出す相澤先生。合理的、を主張しているだけあってこういった作業は適任なのかもしれない。ただ、やたらと大きな天蓋付きのベッドをどこに入れますか?と聞かれていた時はさすがに数秒の間があった。数時間もすれば、大量にいた業者さんたちもいなくなる。各々、生徒たちの部屋には荷物が詰め込まれていることだろう。

そして本番?というか、これからが私たち教員の番である。生徒たちの荷物を優先して搬入し、夕方から教員の荷物の搬入があるのだ。


「みんなも終わってますかね?」

「大丈夫だろ」

さっさとA組の寮を後にして、職員寮に向かえば既に玄関前にはミッドナイト先生がいた。はて、と一瞬思ったものの、職員寮の共有スペースの荷物は個人の荷物の更に後なので中で待つ場所も無いことに思い至る。


「お疲れ様です、ミッドナイト先生」

「名前ちゃんもお疲れ様。大変だったでしょ」

「トレーニングはやっぱり必要だと痛感しました...」


にこりと微笑むミッドナイト先生に眉を下げる。非力なわけでは無いけれど、やはり前線に出てるようなヒーローの先生たちとは違い物足りなさや力不足感は否めないのだ。


「適材適所よ。相澤くんに任せればいいじゃない」

「そういうわけにも...」

「もう終わってんのかよー!」


私の声は恐らくかき消されただろう。元気のいいと言うか、よく通る声が響いてきて相澤先生がうるせぇ、とお決まりの台詞をマイク先生に投げかけた。


「この様子なら予定より早く終わりそうだね」

「あ、オールマイト先生お疲れ様です」

「名前くんもお疲れ様」

「おや、もうほとんどいるね」

「校長まで...」


そのマイク先生に並んで歩くオールマイト先生に、その肩に乗っている校長先生。今日いるメンバーの半分くらいは確かに揃っている。他にもいるブラド先生はまだB組の搬入にいるだろうし、13号先生は要請で抜けた。他の教員も、要請でいない人や搬入組と普段の仕事組と分担している。

玄関前でがやがやと皆が話しているのを眺めるのが面白い。相変わらず相澤先生はマイク先生に冷たいし、間に入ったオールマイト先生は火の粉を浴びている。それを面白そうに見ながら話すミッドナイト先生と校長先生。


「生徒の意外な一面が見れて中々楽しかったね!」

「確かにそうですね」


にこりと笑うミッドナイト先生が思い浮かべたのは何だったのだろうか。確かにA組、B組と見ていたが面白かった。緑谷くんはオールマイトグッズが多いなぁ、とか拳藤さんの荷物は性格通りというかちゃんとまとまっている印象だった。凄く大きな天蓋付きのベッドと、そこそこ大きな十字架がそれぞれのクラスに運ばれてきた時は何事かとも思ったが。


「ここでみんなに報告があるのさ!」


すると校長が片手を上げて高らかに声を出す。え?と全員が校長の方を向くと、校長はあのいつもの笑顔のままこう言ったのだ。


「業者のトラックが敵との交戦の巻き添えで炎上しているよ!つまり、君たちの荷物は燃えて届かないって事だね!」

「えぇー!?」


真っ先に叫んだのは誰だっただろうか。校長の朗らかな言い方の割にキツイ内容の報告に叫び声を上げる者、目を白黒させる者、理解が追いつかず無反応の者、と三者三様の反応を返す中、相澤先生だけは小さく息を吐いただけだった。


「うわぁ、にっ荷物が!相澤先生のもですよ!?」

「俺のは無い」

「はっ!?」

「持ってくるモンが少ないんで自分でもう運び込んでる」















(ショータずりー!!)
(私も着替えほとんど積んだのに...)


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