■ イレイザーヘッド

*かなりぬるい事後表現あり











カーテンの隙間から差し込む日がちょうど顔にかかったあたりで、眩しさで目を開ける。起き上がろうとした身体がやたらと怠いし、下腹部に至っては若干の痛みすらある。そこで微睡んでいた頭が一気に覚醒した。


「はっ...!」


布団の中で後ろから腰に回された腕と、顔だけ振り返ればやけに目に付く肌色に思い返すは昨日の夜。いつもと同じように仕事が終わった後に夕飯を食べて、そのあと翌日の準備をしながらお互いに残った仕事を片付けたりお風呂に入ったりと自由に過ごし、て...。寝るか、ってなった時におやおや、相澤先生の様子がいつもと違うぞ、となったのだ。それがどう違うかなんてわからないほど子どもでも経験がないわけでもないけれど、あまりに久しぶりのその甘ったるい空気に思わずくらりと目眩すらしたのも思い出せる。

その後はもう、なすすべもなくされるがまま。次々と降ってくる唇に甘い言葉。相澤先生そんなこと言えたんだ、と恥ずかしさに現実逃避した頭でそんなことも考えた。すぐ引き戻されたけれども。
で?その後は?ダメだ、うまく思い出せない。色々もう無理です、と何度も思ったし絶え絶えの息で言ったような気もする。触れる手つきがあまりにもいやらしいというか、でも優しいというか、それだけでももうダメ、と思ったし...実際ダメだったのかもしれない...。終わったと同時に、意識が遠のいたからこんなにおぼろげな記憶なのかも。

あぁ、無理。こんな抜け落ちた記憶でも思い出すと穴があったら入りたいくらい恥ずかしい。しかも相澤先生、脇腹撫でた時にぼそっと柔いとかなんとか言ってた。辛い。手で顔を覆い、寝転がっているのに俯くように顔を下に向けて身じろぎをする。


「そう動かれると髪が当たる...」

「うわ!」


寝起きの掠れた声とともにぐっ、と力を込めて引き寄せられた。その声は少しばかり不満そうではあるものの、引き寄せる腕の力も、髪を撫でる手も優しい。でも背中に直接感じる温もりに更に顔が熱くなった気がする。


「なに一人で唸ってたんだ」

「それは、ですね...」


相澤先生が私の肉付きに関する感想が聞こえたからです。あと普通に裸のままなので恥ずかしいです。

蚊の鳴くような声でぼそぼそと言えば、引き寄せていた腕がするりと抜ける。密着度が下がり、ほっと一安心する。そろそろと顔だけを相澤先生に向ければ横向きで枕に肘をつき、その手のひらに頭を乗せたまま、まだ少し眠たそうな目でこちらを見ていた。無理!ばふっ!とうつ伏せで枕に顔を埋める。


「何してんだ...?」

「羞恥心と闘ってます...」

「いまさらだろ」


昨日、と言い始めた瞬間にばっと上半身を起こして片手で相澤先生の口を塞ぐ。まだ私には振り返れるほどの気力も何もないのだ。しかし相澤先生の視線が下に下がったのを見て慌てて手を離した。見えてた!


「ここと、ここ..」

「ひゃ...!」

「そそるな」


指先で首筋、鎖骨、胸元、となぞっていく。くすぐったさで声が出る。しかし最後の言葉に、は?と自分の体を見下ろして出た声は全く色気のないものだった。


「こんなに...!!」


一つ二つではない。中々の数だ。身体に鬱血痕として残っていたそれをなぞっていたのだ。ちょ、こことか隠れないんですけど...!


「あとここ」

「え!?」

「ここもだな」

「嘘ですよね!」


相澤先生が次々と触れる場所はうなじ、肩甲骨あたり、と自分では見えないところだった。その多さに思わずたしなめるように声が出てしまうが、相澤先生は全く意に介した様子もない。


「あまりに良い反応だったんで、つい」

「つい!」


そんな感じなんですか。
へたり、と布団に突っ伏す。これは一度姿見を見たいかもしれない。コンシーラーが鞄の中に入っているかも。眉を下げて息を吐くと、相澤先生が頭を撫でてくれた。しかもやんわりと笑って。それだけでまぁいいか、と思ってしまう私は本当に相澤先生に絆されているのだろう。














(でも!ミッドナイト先生に見つかりたくない...!)


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