「お酒、ちょうだい」

「お、珍しいな。どうしたんだ」

「んー?」


杯と言うにはごついグラスに並々注がれるお酒。それを横目に風に揺れる木々を眺める。揺らされた枝から桃色の花弁がひらりひらりとその情景をよりいっそう美しくさせる。


「花見酒と洒落込みたい気分なの」

「なるほどな。春島はうってつけだ」

「そゆこと」


ふと見ると、シャンクスの赤い髪に絡まるように花弁が舞い落ちてきた。髪飾りには少し物足りないけれど、赤の中にある桃色はやはり目立つ。くすくす笑っていると彼が訝しげにこちらを見るからに、なんでもないと、あえて教えない。


「どーかしたのか…?」

「気にしないでいいわ。良く似合ってるから」


益々わからないと言いたげな表情を浮かべるシャンクスを見て、グラスを傾けた。




(酒はうまいし景色も良い、心許せる人が目の前にいる。これ以上の幸福何てありはしない)



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