「大丈夫です!」


そう言って真っ青な空の下、甲板を行ったり来たり逃げ回る後ろから捕まえようとペンギンとキャスケットが追いかけ回してくる。ちょっ!大の男がこんな乙女に二人がかりとか大人げないと思わないの!


「誰がどう見ても大丈夫じゃねェっての!良いからキャプテンとこ行け!」

「いーんです!ほっといてください!」

「良くねェしほっとけるか!血ィだらだら垂らしながら口答えすんな!」

「こんなんツバつけときゃあ治ります!ぺっぺっ!」

「コラ!ホントにツバかけんな!」


腕を伸ばして来たキャスケット横をひらりと我ながら身軽にかわしてまた距離を取る。じりじり。近寄って来ては距離を取り。近寄って来ては距離を取り、を繰り返しているとぽふっと背中に当たった。


「ベポ、なまえを捕まえろ!」


ペンギンが高らかに言うと背後から戸惑ったようにア、アイアイ!と声がするとガバッと抱きしめられた。あ、これは普通に幸せかもしんない。


「そのまま、そいつを、キャプテンとこ連れてけ…」


次にキャスケットが息を切らせながら言った言葉に血の気が引いた。うそーん。そのままアイアイと元気よく返事をしたベポに引きずられながら私はキャプテンの部屋に連れて行かれた。






(いででででで!!キャプテン!?ピンセットは消毒用の綿を掴む物であって傷口をえぐるものじゃありませんよ!!)
(うるせェ口答えすんな)
(また言われた!)




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