「飴と鞭、か」

 舌を這わせるだけで甘いビッチちゃんの肌はまるでキャンディーのようだ。白い首筋を唾液でべとべとに染め上げる過程に、独り言のように呟いたら、それが聞こえたらしいビッチちゃんは不思議そうな顔をしていた。ボクらしくもなく、名前の言葉についてずっと考えていた。結論はこれ。ビッチちゃんにとってボクの吸血が飴なのか鞭なのかなんて、考えるだけ無駄。鞭があればそれでビッチちゃんを打ち付けて流れ出た血を優しぃく舐めてどろどろに蕩けさせてあげるし、飴があったらビッチちゃんの口に突っ込んで、彼女の熱でどろどろに溶かしてから、小さな舌をなぶって全てを舐め取ってあげる。

「ねえビッチちゃん、次に学校がお休みの日、買い物にでも行こうか。ボクとキミ、二人でデートをしようよ」
「……え?」
 ビッチちゃんがぱちんと瞬きをしたのは一度だけ。
「う、うん! 行く、行きたい!」

 腕の中、見たこともないような顔ではしゃぐビッチちゃんに、ボクは感じた事もない不思議な感覚に陥っていた。びりびりと破いた包装紙の向こう側に、キャンディーがたくさん詰まったキャンディーボックスが待ち構えていた、そんな感じだ。それならボクは全てをビッチちゃんの小さな口のなかに押し込んでから、味わい尽くしてあげよう。
 指と指を絡めて歩いている最中も、女の子が好きそうな雑貨や化粧品なんかを見て回っている最中も、道の端で売っていたクレープを食べている最中も、隣に並ぶビッチちゃんはきっと、どろどろに蕩けたキャンディーみたいな表情をしているんだから。想像しながらボクは、散々舐め尽くし、唾液でてかてかと輝いている肌にキバを埋め、キャンディーのように甘ぁい血を吸い上げ、ごくりと飲み込んだ。

   
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