まず始めに、プロバビリティーの犯罪とは。
ミステリ小説におけるトリックのひとつで、プロバビリティー、つまり「蓋然性」による犯行の事をさします。偶然の可能性を高めていって相手を貶めていくような、そんな犯行。
自分には説明できるほどの知識はないので、詳しい所は検索して頂ければ。
とにかく、“偶然”に頼った犯行のため相手に本当に危害を与えられるかの確実性は非常に乏しいのですが、だからこそ被害者本人すら犯行が行われた事実に気付かないという事も多く、また、犯行がバレたところでそれを“犯罪”として立証できるのかどうなのか、という所で非常に怖い犯行。
この、自分は直接手を下さずに周囲からじわじわじわじわ首を絞めて行く感じが凄くルキらしいかなと思ったんですが、彼、ヴァンパイアなのに何でそんな回りくどい事してるんだよ!!!と考えたら、何だかものすごい違和感ですね!!!
話の中でルキが珍しく文庫本読んでた、というくだりがあったと思うんですが、あれは実はプロバビリティーの犯罪を扱ったミステリ小説を読んでいたんです。
もちろん冒頭の角砂糖のおまじないの噂を流したのもルキです。主人公がきちんと自分のてのひらで踊ってくれるのかの実験の意味と、糖分の過剰摂取で主人公の身体が壊れてしまえばいいっていう思いと、ルキには二つの思惑がありました。
ルキは様々な方法で主人公を負傷させようとします。ある時は腕を狙ったり、ある時は足を狙ったり、ある時は目を狙ったり、喉を狙ったり。
その全てが“偶然”におこりうる可能性に満ちた方法ばかりであり、確実性に乏しいので、結局主人公は無事ですし、主人公はその事について自分が狙われているなんて思いもしません。
なぜルキが主人公を狙っているのかというと、
この時のルキは既にルート終盤のルキなので、主人公に執着をみせはじめて頭がパーンしかけてるルキなんですね。
そこに、主人公を逆巻家に連れ戻しに来たアヤトがやってきて、無防備な主人公はアヤトに吸血されてしまうんです。それを見たルキの頭がパーン!
「あれほど逆巻の奴らに血を与えるなと言ったのにお前は〜」
とかなんとかいって、
「どれだけ言っても話を聞かない家畜には言葉で言うよりも身体に分からせてやった方がいいだろう」
と、ルキは主人公をそれはもうめちゃくちゃ吸血します。普段の理性的なルキは何処へやらです。
それからルキは口も聞いてくれなくなって、困った主人公は学校で流れていた「仲直りをするおまじないの噂」に、それが既にルキの策略とも知らず、頼ります。その“おまじない”の効果があった事が原因で、主人公はあらゆる罠にずるずるとはまって行く事になります。
最終的には「あの喧嘩をした日からルキくんが吸血してくれない」と悩みに悩み抜いた主人公が、自らを自らでめちゃくちゃに傷付けて血を流して吸血を懇願するっていうところまで(もちろんこれもルキの策略のうち)きて、そこでやっとルキが主人公の事を許して、吸血してくれます。
安堵したのと血を流しすぎたのとで主人公気絶。
主人公が起きたらルキのベッドで寝ていて、ルキが何だか優しく看病してくれて、なんだか幸せになって、何であんなに悩んでいたんだろうって思う主人公。
何日かそうして看病される日が続き、
ふと、いつも枕元でルキが文庫本を読んでいる事に気がついた主人公が、何を読んでいたのかたずねる。
そこでルキの口から「プロバビリティーの犯罪」についてが仔細に語られる事に。
それは何処か、ここ最近の主人公の身に起きた出来事と似ているけれど、主人公はここに至っても何も気付かずに
「なんだか、こわい」
「怖い?」
「自分の知らない内に誰かに狙われているなんて、……凄く、こわいよ」
「そうか。じわじわと追い詰められ、誰に狙われたと本人さえも知り得ぬまま、全てが偶然の不幸な事故として処理されてしまう。自らの咎さえ自覚できない愚かな人間に、これほど似合いの断罪はないと思うが」
みたいな会話をして、ルキくんが内心ニヤニヤしたりする。
この、主人公が最後まで何も気付かないってところが個人的なポイントなんですけど、もし気付いていたらルキも最後まで狂わずにぎりぎりのところで踏みとどまって、正常な場所に戻る道もあったと思うんです。気付かなかった主人公を見た瞬間に、ルキは完全に落ちてしまいます。もう愛しのカールハインツ様とかアダムが何とか全てがルキくんの頭の中でパーンします。主人公を自分の腕の中に閉じ込めておくことが彼の中で最重要項目に。
それから、傷によって弱っている主人公が再び眠りに落ちたあと、ルキが眠る主人公に向かって
「俺以外の者を映し出すのなら、その両目なんて腐り落ちて光を失ってしまえばいい。そうしたら俺が一生お前の側でお前を見つめ続けてやろう」
「俺以外の者の元へふらふらと歩いてゆくのなら、その両足なんて粉々に砕け散り、二度と立ち上がれなくなってしまえばいい。そうしたら動けないお前のかわりに俺がお前に会いにいこう」
「俺以外の者の名前を囀ずるのなら、その喉なんて焼け落ちて、二度と喋れなくなってしまえばいい。そうしたら俺がずっとお前の側で、お前の名を呼び続ける」
「俺以外の者に触れる両手なら、その肩から切り落とし、二度と何者にも触れられなくなってしまえ。そうしたら、俺がずっと、こうしてお前に触れていよう」
……というような台詞を言って、おしまいです。自分の言いたい事がちゃんと説明できてる自信がない……。なんかもう恥ずかしい……。
とにかくそんな感じの話が個人的に激もえだったのでどうしても書きたくて始めたのに肝心のルキを書けませんでしたという話!!うわあああ!!ルキに感じたものを詰め込んで凄く妄想した果てのものなので、書き上げられていたらよかったんですが……頭が悪い人間には知的キャラが書けなかった。くやしい。いつか完成させたいんで努力します。キャラを掴む才能がほしい。

   
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