「おかえりなさい、お兄さん」

彼は、まるで屈託なく笑う。
あの頃と変わらずに笑う。俺はそれが嫌いではなく、むしろ極限気に入っている。俺だけではない。彼のまわりにいる者はみな、この笑顔に生かされている。彼の放つやわらかな空気の中に、いつまでもふわふわと漂っていたくなるのだ。不思議と。

「いいかげんその呼び方は無いな」
「そう?」
「そうだ。だいいち俺はお前の兄ではなく京子の兄だからな!」
「‥‥ふ、」
「何がおかしい」
「だって。リボーンみたいに、ボスとしての自覚を持て!って言うのかと思ったから。」
「む」
「お兄さんはずっとあの頃のままだね」
「沢田もな」

(ほら、まただ)
どうにも全てをあずけてしまいたくなる。頬を伝う彼の指の熱を、容易く受け入れてしまう。支配。浮遊感。めまい。
今にも唇が触れそうだ。

「了平さん」
「なんだ」
「ちゃんと拒否してくれないと。俺、雲雀さんに殺されちゃいます。」
「な!」
「お兄さん顔赤い。」

(困ったボスだ)
(そうして笑うのは卑怯とゆうものだろう!)







「また綱吉にからかわれたんだってね」
「筒抜けだな」
「浮気者」
「心にもないことを言いおって」
「どうかな。」
「どうだろうな」










m&h提出
20061109
20100101追記
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