雨の夜、こうして車の中に閉じこもるのは割りと好きだ。フロントガラスに伝う雨粒を見ていると、なんだか心がきれいになるような、そんな気になる。

「わ、もう3時」

かれこれ何時間になるだろう張り込みは、どうやら動きナシの収穫ゼロで終りを迎えそうな気配。煙草も切れたし。お腹もすいたし。とにかくずっと同じ体勢だったんだ、ケツがいてぇ。マンションに消えてったあの二人も、やることやってもう寝てるよ絶対。違いない。

「雨止んだよー」

助手席ですっかり眠っているメロを、起こすでもなくひとり呟いてみた。空はどうやらご機嫌がよくなったらしい。フロントガラスの雨粒は流れることを止め、キラキラとそこにとどまっている。

(なんか、)
(キレイかも)

「マット‥」
「あ、起きた」
「動きは?」
「無しなーし。」
「喉渇いた」
「コーヒーならあるよ」
「チョコがいい」
「オーケー」

すっかり寝惚けているメロはぐりぐり目をこする。甘えんぼ。たべたい。でもこれ言ったらせっかくのかわいい寝起きが台無しになりそ。(いつもはね、寝起きから目吊り上がってんだ!)
しっかし久しぶりにこんなにゆっくり眠ったんじゃないのかな、メロは。いつも俺より遅く寝るくせに早起きだし。どうせなら窮屈な車ん中なんかじゃなく、ふかふかの、スウィートなルームとかのベッドで眠らせてやりたいなぁ。

「それにしても」
「ん?」
「星がすごいな」
「うん、そうだね」

(やっぱり。まだ寝惚けてる。)
(でも、雨粒のプラネタリウムも悪くない!)

「マット、わるい‥」
「うん、いいよ。おやすみメロ。ゆっくり眠りな。」











ふたりだけの
20070107
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