「あの、」
「ん?」
「僕の顔、なんか変ですか」
「や、俺が新八くんの年ぐらいの時って、どんなんだったかなーって思って」
「なんだ、そっか」
「うん。たぶん新八くんみたいには笑ってなかった気がする」


キス、してみたいとか思ったのはもう何ヶ月も前のこと。なんとなく。みんなの真ん中でさりげなくいろいろ気遣って、でもそれが彼には当たり前で。そういうのって、なんかいいなぁって。急に、愛しくなっちゃったんだよね。地味で眼鏡な新八くんに、触ってみたくなっちゃった。おいでおいでって抱き締めてみたくなった。それなのに、俺なにやってんだろう。何にそんなにびびっちゃったんだろう。こんなことなら、桜とお酒の力を借りて色々しておけばよかったなって、今は後悔してたりする。あの時なら、セクハラか酔った勢いでごまかせたのにね。(新八くんが女の子だったら、それすらたぶんアウトなわけだけど)
ちょっと、好きになりすぎたかもしれない。

「なーんか、ね?」
「なんですか?」
「俺が触ったら汚れちゃいそうだもんね」
「え?」
「いやいや、こっちの話っ」

この何か月かで、新八くんの心までの距離が、どれくらい縮まったかなんて正直わからない。ずいぶん近付いてる気もするけど、男同士ただ打ち解けただけなのかも知れない。どうなのかな。会いたいなぁーなんて、冗談ぽく言った俺のことばを、何度も何度も叶えてくれる新八くん。やっぱりこれも、いつもの彼なりの気遣いなんだろうか。
それとも。肩が触れ合う距離で隣に座ってくれるのは、心もすぐそこにあるって思ってもいいのかな。
もしも、もしもそうなら。俺の臆病が新八くんを傷付けちゃう前に、一歩踏み込んでみようかな。

「あの、山崎さん」
「ごめん新八くん。もしよかったら、キス、してもいいかな?」











ハピバースデイさがる!
20070207
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