きょうはなんの日。知らない日。誰かのうまれた日で誰かの死んだ日で、僕たちの知りえない奇跡がきっとどこかで起こっている日。
だけどなんだかすべてが遠くて、ときどき忘れてしまいそうになる。この途方もなく広い世界の上で、僕らもこうして息をしているんだということ。生きているということ。
「壬晴」
「ん?」
「きょうはなんの日」
「宵風と俺がいっしょにいる日」
僕はこの他人事の世界で、あと何回か息をして、そうしてどこかへ還ってゆく。
できるならその時も、今日みたいになんでもない日であってくれたらいいのに。僕と壬晴がいっしょにいる日なら、それがいいなって、最近よく思うんだ。
「みはる、」
「ねぇ宵風、もうすぐ明日がくるよ」
〆
20071130