アスファルトに並んで映るふたつの影が、すっと闇に溶けた。どうやら太陽が沈んだみたいだ。六月の空には、夕焼けを通り越して夜が訪れた。
いったいどれくらいこうして歩いたんだろう。わからない。短いかも知れないし、ずいぶん長かった気もする。それでも、部活でくたくたになったはずの足は止まることなく前に前にと進んで、たぶんとなりには準さんがいてくれて、俺は前だけを見てて、もう影は無くて。
さっきまでゆらゆらと揺れながら時折重なったりしていたふたつの影。それが見えなくなってしまって、胸の中には寂しさが、どうしよもなく溢れた。
だって俺は前だけを見ていて、隣なんて見れなくて、空はすっかり暗くなっていて、情けなくて。
「準さん」
「ん」
「日、落ちちゃったね」
「ん」

聞こえてきた声。準さんの声。これ以上ないってくらいに安心したくせに、やっぱり俺は前ばかり見ている。月は、ふたりを照らしてくれているんだろうか。準さん、準さん。

「んじゃ俺あっちだから」
(手、繋いだりしたかったな)

全てを寒さのせいにするには六月の夜はあたたかくて、俺はなんだか泣きたくなった。








20071221
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