風が、木の葉を揺らす。
火の意思を継ぐ木の葉のひとりひとりを、風がそっと繋ぐ。
この里は、俺にとってこんなにも安らぐ場所だっただろうか。それともやはりこの場所こそが、俺の特別なんだろうか。答えはいつだって問う前からわかっているけれど、けれど俺には忘れちゃいけないことがあるから。
この安らぎも、髪を撫でてゆく風も、穏やかな空も、あたたかい土の匂いも、ぜんぶぜんぶぜんぶ、あたりまえに在るものじゃないから。
たくさんの手が、心が、火の意思が、与えてくれたものだから。
だから、俺は何度だって自問自答する。
二度と見失わないよう、そっと感触を確かめる。
なんども、なんども。

「ナルト?」
「なんだよサスケ、すっかり甘えんぼになったってばよ」
「居るならいいんだ、」
「なんだよ」
「お前、すぐどっかいくから」
「どっか行きたくても、すーぐ気配で追って来るくせに」
「だまれウスラトンカチ」

いま隣にいる友人は、どんな顔して笑ってるだろうか。俺の知っている笑顔より、大人びていたりするんだろうか。
できることならその頬に、触ってぜんぶ確かめたいのに。

「なんとかするってさ」
「え?」
「綱手のばーちゃんとサクラちゃん」
「ああ」
「早くなんとかしてほしいってば」
「そう、だな」
「なあサスケ」
「ん」
「お前の目には、今何が映ってんの?」

俺の顔をのぞきこんでいるだろう友人の顔は、きっとあの頃みたいに笑っている。
なぁナルト。
この瞳にはいつだって、そればかりが映し出されているよ。










385話読んでの突発妄想です
20080125
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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